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内容説明
太古からの民族の信仰? それは幻想にすぎない。律令国家の形成、中世の動乱、西欧の衝撃……。危機に直面するたび「太古からおのずからある」ものとしてつくられた「こころの形」。現代の日本人をも捕らえて放さない幻想を打ち砕く。
目次
第1章 「神社」の誕生―古代律令制国家の模索(日本の律令制と神社は双生児である;官国幣社制と神仏習合;日本古代の宗教)
第2章 「隔離」にもとづく「習合」―「神道」の成立(顕密体制と神国思想;二十二社・一宮制と中世の神社;吉田神道の成立とキリスト教の伝来)
第3章 近世国家と民衆―「神道」論の新たな展開(幕藩制国家の成立とキリシタン;宗教統制の実態;儒学的「神道」論の発展;国学そして国体論)
第4章 宗教と非宗教のあいだ―「国家神道」をめぐって(明治維新と祭政一致;「信教の自由」論争;帝国日本を支えるイデオロギー)
第5章 戦後日本と「神道」―民族の「自画像」(戦後における宗教構造の変容;柳田「神道」論の問題点;戦後史のなかの柳田「神道」論)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
55
柳田國男説を批判する目的で書かれたようで、特に記紀が成立する7世紀あたりから、神道が仏教とどのような関係で成立していったかを、史料をもって明らかにしているのが本書の価値。同時に日本思想史の概説書としても、少なくとも近世までは有用と思う。明治維新における神道の位置づけも概ね首肯できる。だが、それ以降の歴史記述は強い「党派性」を感じてしまう内容で、本書全体の価値を損ねている気がした。天皇制ファシズム(最近はこの言葉を使う人は少ないと思うが)や日本国民はその被害者という他人事のような言葉はねぇ。2025/12/23
coolflat
17
柳田国男によって提起され、戦後の社会的常識として広く受け容れられてきた「神道は、太古の昔から現在に至るまで連綿と続く、自然発生的な日本固有の民族的宗教である」との理解が、いかに日本の歴史や宗教の実態に即していないかを指摘している。日本列島では6世紀の欽明・推古朝期から、百済経由で中国の先進文明を部分的に導入する事によって国家形成の動きを加速させていた。しかし唐帝国の成立と朝鮮半島における新羅の形成に伴って、これに対抗できる国家システムを構築しなければ、もはや倭の存立自体が困難という緊迫した情勢に直面した。2017/09/13
樋口佳之
17
いずれの時代においてもその中心的な位置を占めたのが、従来から理解されてきた「(民族的)宗教としての神道」とは異質な民衆統治のための政治支配思想(宗教的政治イデオロギー)というべきもので、「国家神道」もまたその系列に属しているということである。/かなりヘビーな内容を新書版に詰め込んでいます。しかし、神道に限らない「融通無碍な多神教」状態の生成過程の歴史を解いている内容に学ぶこと多でありました。2017/03/08
Kazuo
14
「神道」についての、これまでの学術研究の結果では「日本の神社や神祇信仰が太古の昔に成立し、今日まで変わることなくことなく連綿と伝えられてきたと理解されているが、そうした理解は明らかな事実誤認である」となる。著者の述べる通り日本の文化的傾向は「融通無碍」「多様性」といったものであろう。例えば、仏教は様々に分派し活動しているし、空手も多様な流派により、独自の活動を行っている。中央集権型の神社本庁中心の神道から、多様な「神道」が誠実に派生すれば、それこそが日本文化の特徴を備えた神道となりえるのではないか?2017/07/22
さえきかずひこ
13
統計では、2億人以上が何らかの信仰をもっているとされる本邦の信仰の実態は"融通無碍な多神教"であるとしその原因がメタ宗教としての国家神道政策と庶民の意識のズレにあり、敗戦後日本宗教全体が極端に習俗・慣習化したことを明晰に論じる良書。著者の専門は日本中世史だが、現代そして未来における神道のあり方を展望するにあたり、"太古の昔から連綿と続く自然発生的な日本固有の民族的宗教である"という誤った認識を強化した柳田国男≒GHQ≒梅原猛らの言説のイデオロギー性を厳しく吟味検討しておりとても読みごたえがあるのが嬉しい。2020/08/21
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