文春文庫<br> 9・11倶楽部

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文春文庫
9・11倶楽部

  • 著者名:馳星周
  • 価格 ¥1,005(本体¥914)
  • 文藝春秋(2012/08発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167664060
  • NDC分類:913.6

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内容説明

地下鉄サリン事件で妻子を失った救急救命士の織田は、ある日路上で倒れていた少女・笑加(えみか)を助ける。彼女と暮らしていたのは、リーダー格の明をはじめ年齢がバラバラな少年たち。実は彼らは、都知事による新宿浄化作戦で両親を中国に強制送還された、戸籍のない子供たちだった。事情を知った織田は、力になろうと無謀な行動を起こし始める。理不尽な現実と社会に復讐するためにはじめた“危険な遊び”は、やがて──。狂気に駆られていく男を圧倒的な筆致で描く傑作長篇!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

95
およそ17年ほどの時を経て再読です。やはり新刊時に読んだインパクトは鮮烈で、それだけブランクがあっても話の大体の展開、内容は憶えてました。主人公は堅物の救命士「織田」。地下鉄サリン事件で妻子を亡くし、何の喜びも見いだせないまま、ただただ1日1日を過ごしています。そんな彼がたまたま臨場した現場で出会った謎の少年たち。中には女の子も1人いて、そんな出会いが「織田」の人生を少しずつ狂わせ始めていきます。馳さんの作品にしては、割りとノーマルなタイプの主人公ですが、少しずつ狂気に蝕まれていく描写はさすがでした。2025/09/12

じいじ

62
この東京都庁は、超高層ビル群のシンボルとして、映画にもたびたび登場。都庁がいまの西新宿に建てられたのが1991年ですから、もう35年になります。今作の舞台は、東京一の繁華街と言われる新宿・歌舞伎町で事件が発生、地域柄から被害者は酔っ払いの男性と思いきや、倒れていたのは15歳の少女。現場に急行したのは、主人公・救命救急士の織田隊長ら3人。この織田隊長らが、理不尽な現実社会に無謀にも立ち向かいます。「地下鉄サリン事件」で妻子を亡くした男をベースにしたハードボイルドで、緊張感があります。2025/09/21

Tetchy

40
救急救命士の織田が親を祖国へ強制送還され、自分たちだけの力で生きていかざるをえなかった不法就労者の残留児たちの境遇に義憤を感じ、東京都知事にケンカを売る。今までの馳作品と違い、犯罪を扱いながらも織田と孤児たちの温まる交流が描かれる。馳流大家族ドラマといった趣だ。織田の執着に疑問を感じるが、これは家族を守ろうとする一人の男の愛の強さを描いた物語だ。しかし馳氏の手に掛るとその愛の強さはテロをも生む。安定した生活を擲って家族のために犯罪に手を染めていく不器用で愚直な織田に、どこか昭和の男の香りを感じてしまった。2013/11/30

ねこまんま

31
何とも切ないお話。 真面目な男が頑ななゆえに修正するすべを知らず、間違った方向に突っ走ってしまう。 無戸籍の子供たちは可愛そうだと思うけど、逆恨みには違いないしなあ。 新宿の雑踏の中、息をひそめて疑似家族を形成して生きている子供たちの濃密な空気が苦しいほどに伝わってきます。 孤独に耐えられなくなった男は、彼らを助けたいと思い、同時に彼らに助けられていたんだろうな。 馳星周の本領発揮、ノワールな世界でした。 大満足。 2015/12/06

そうたそ

25
★★☆☆☆ 救命救急士の織田は路上で倒れていた少女を助けたことをきっかけに、親を中国に強制送還された戸籍なき子どもたちと行動を共にすることになり――。馳作品にしてはノワール色が少なく、個人的なイメージとしてはIWGPを思い浮かべてしまうような内容だった。馳作品の主人公にはどこか人間の汚さとか弱さが感じられるのだが、本作の主人公は犯罪に手を染めてはいるものの、直向な善意、まっすぐさが感じられ期待するような馳作品ならではの面白みに欠ける。子ども達を救うに至る心情の変化も唐突過ぎて理解し難いしいまいち。2017/10/19

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