内容説明
古着屋の娘・きぬの創作折り紙に魅了された佐貫藩主・松平重治は、不治の病にかかった四代将軍・家綱を慰めるための竜神を折らせるべく、きぬに手紙を書く。しかし、幕府の決まりに反したこの行動が、将軍継嗣問題ともからんで重治は窮地に立たされる……。大型新人による書き下ろし時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
F
14
享保元年(1684年)身分違いのものに書状を出したことを咎められ改易された松平重治とい人物がいた。寺社奉行などの要職を努め、資料をあたるに恐らくは有能であった筈の彼は、何故改易の憂き目にあったのか。作者が、その疑問と知己の趣味である「折り紙」の奥深さ、面白さを併せたら、なにか面白い小説になるのではないか、というひらめきを得て書き上げられた小説が本書だそうだ。当時の世相を鑑みるにさもありなんという物語に仕上がっている。登場人物一人ひとりが、すっと、一本通った筋を持っていることに好感を持った。2011/05/12
みき
6
折り紙のおかげで忠義を心に灯した男、折り紙のおかげで心救われた男、折り紙のおかげで生きる術を得た女。重治の家綱を思う心と、きぬの折り紙を通して家族や家臣を労わる心を得て行く過程に心打たれた。それを自身の語りでなく、家臣たちが寝ずの番をしながら語るところがまた泣ける。重治の家臣になった心持ちで終焉を迎えたからか、私は嗚咽が漏れました。重治の折った竜神を見てみたい。2012/10/21
スプリント
4
序章で後日談のような書かれ方をしているので結末は明るいものではないことがわかりますがその予想を上回る展開があります。やや中だるみするとこもありますがストーリー構成は秀逸で楽しめました。2014/06/21
菊見
3
折り紙を介して大名、町娘、将軍の三者が交わる、という着眼点が面白かった。何にせよあのカバー絵はちょっとイメージ違いだな…
総代
2
書評用。アイディアと資料の掘り起こしによる、プロットで読ませるタイプの小説。私にとっては理想的な歴史時代小説のタイプだったが、短篇を長くしたとあとがきにあったように、なるほど各所にその苦しみが見えたかな、と。しかし、短篇ではたしかに小説としての機能は十全に果たせそうにない。技術的にちとおっつかない感じ。しかし評価的には◎2011/07/05




