内容説明
災害は突然のごとく襲ってくる。生きることと死ぬことの偶然の分かれ目、今まで自分たちを抱え、守ってくれていた家の消滅。救援がはじまる。被災者は避難所に移り、あるいは病院に搬送される。家族や友人を喪ったなかでの長びく避難所生活、救援にあたる者、救急医療の現場に携わる人の積み重なる疲弊… そこから、こころの病いをはじめさまざまな二次災害も広まる。東日本大震災からひと月余、誰もがはじめて経験する日々がつづくなか、16年前の阪神淡路大震災の経験から学ぶことは少なくないのではないか。小社で刊行した『1995年1月・神戸』より、中井久夫の文章を再編集、併せて新稿も収めて、ここにおくる次第である。歴史に学ぶ・「神戸」から考える――こころのケアを中心に、精神科医が関与観察した震災後50日間の記録。
目次
東日本巨大災害のテレビをみつつ―二〇一一年三月一一日‐三月二八日
災害がほんとうに襲った時 付・私の日程表―一九九五年一月一七日‐三月二日
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
40
NHKのドラマ「心の傷を癒すということ」がとても面白かったので、このドラマのモデルの1人、中井久夫さんのエッセイを読んでみた。25年前の神戸大病院の震災時の詳細な記録が興味深い。この日記を記すことで先生は、自らのストレスを軽減していたんだろうなと思った。2020/02/05
モリータ
12
◆初出は中井久夫編『1995年1月・神戸―「阪神大震災」下の精神科医たち』95年3月みすず書房刊。単行本(本書)は精神科医の文集である前掲著より筆者分を再編集し、冒頭に「東日本巨大災害のテレビをみつつ」を付して東日本大震災直後の2011年4月みすず書房刊。著者(1934-2022)は精神科医。西洋詩など人文学にも造詣が深く、著書は精神医療分野含め多数。◆本書は、震災当時、神大医学部精神科神経科主任教授(同附属病院精神科部長)として被災地・緊急体制の病院での指揮にあたった著者の震災当日から3月までの記録。2023/03/08
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇵🇸🇾🇪🇱🇧🇨🇺
10
1995年、神戸の震災時に刊行された本の中井久夫の文章を再編集して東日本大震災についての新稿を追加して一冊にしたもの。神戸大学病院精神科の部長だった著者の被災記で、当事者という内側からの視点で書かれている。 中井久夫先生の名前はよく拝見しつつも、まだ本は未読だった。この方もご存命(87歳)。なるほどこういう文章を書くのかと感じた。やや抑制が効きすぎのような気もするが、そもそもそうした本ではないし。加賀乙彦がボランティアで訪れ、請われて百枚も色紙を書いたとのこと。この人もまだご存命だ。→続く2021/12/03
みのくま
9
すごい本だと思った。阪神・淡路大震災があった直後の混乱からものすごい多忙であった時期に書かれた稀有な本である。決して専門性に閉じこもるわけでもなく、情感豊かに「神戸」という街と人を見る著者の眼差しは、読者に何か優しい気持ちと生きる活力を残してくれる。また、やはり戦災を経験している戦中世代は精神的にも強い。事あるごとに先の戦争を想起して苦難を乗り越える所は感動を覚える程である。そして著者が見る神戸人の姿も素晴らしい。不謹慎ながらも、地震が神戸でよかったと語る神戸人の精神性に、ただ感嘆する。ぼくもそうありたい2022/06/03
びすけっと
7
2011年4月刊。「書店員が本当に売りたかった本」つながり。中盤から後半で支援物資として、チューリップやスイセンなど黄色を主体とした花が届けられたことが書かれています。春先は黄色の花が多いのはどうしてだろう。厳しい冬から喜びの春へ。余裕の無いとき、こころは黄色をほしがるのかな。この本も淡い黄色。 災害に遭ってしまったとき、組織としては「ひまな」司令塔を作ることが必要なのだと感じました。それからボランティアに行くなら、その土地について書かれた本を読むこと、地図を頭にたたき込むこと(p.66)、覚えておこう。2014/05/16




