内容説明
空知集治監に滞在する四郎助は、看守長・高野襄と共に監獄を騒がす怪事に遭遇してゆく。ある日、監獄教誨師・原胤昭が命を狙われていることを知り…。薩長閥政府の功罪と北海道開拓史の一幕を描く圧巻の明治小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Sam
50
いつまでも読んでいたい気持ちにさせられる山田風太郎明治ものだが、本作も御多分に洩れず。舞台が監獄、悪業を重ねた囚人たちが次々登場することもあって明治ものにしてはエログロの要素が強いのが目立つがそれは別にどうでもよろしかろう。後年「愛の典獄」と呼ばれた主人公有馬四郎助はもちろん、教誨師の原篤胤、医師の独休庵に加えて五寸釘の寅吉やら牢屋小僧やら異様にキャラの立っている囚人たちが交錯するストーリーはどれも無類に面白く、(毎回同じこと書いてるが)史実と空想が絡み合って全く飽きさせることがない。文句なしの傑作。2023/02/01
藤月はな(灯れ松明の火)
49
下巻は人間心理を鋭く追及した物語に耽溺した正月休みとなりました。その中で最も突出しているのは「西郷を撃った男」だ。堺事件での申し開きで勇士と卑怯者に分かたれた男二人。二つの銃弾の謎が解けた後で開示された「なぜ、そのような申し開きをしたのか」という心理の妙と関係性の逆転劇が鮮やかで哀しい。そして権力を笠に着る者ならではの大人げない仕打ちから危機に陥った原教誨師を救う為、四郎助と囚人たちは手を組む!そして起こった奇跡とは・・・。そして独休庵先生は最後まで粋な方だった。あれは四郎助を守る為でもあったんだろうな。2026/01/04
千本通り
17
巻末の解説で「西郷を撃った男」をこんなに巧みな話の作り方、見たことがない、風太郎は本当に天才的なストーリー・テラーだとつくづく感嘆させられると激賞している。実在の人物の登場のさせ方、絡ませ方も絶妙で、著者の明治ものをまた読む気にさせる。2025/02/20
キムチ
12
いやいや、面白いのなんのって。 犬ぞりで氷原を走るなんぞ、日本版ワイルドスペクタクル。 「愛の典獄」こと、有馬四朗助の青年期からの成長期だが、出会う人々が濃い!これでは人間から脱皮して神の領域に入っていくのもむべなるかな。 私でも名を知っている伝記中の偉人の祖先がごろごろ出てくるのが嬉しい。やはり、事を成し遂げるのも「かくの如き血が結集して」溢れ出るのかな・・ しかし、男を超えて、オス!性欲一つにしても、動物の世界。 良くも悪くも100年前の世界は同じ日本人とは思えない人が多いような・・2013/05/01
ぐうぐう
11
山田風太郎の小説のおもしろさは、実在した人物を歴史というシナリオの上に配置させながらも、決して史実に縛られることなく、歴史を軋ませるほどに躍動させているところだ。驚くべきことに、『地の果ての獄』に登場する人物の、そのほとんどが実在するという事実に打ちのめされる。風太郎にとって歴史は、決してひとつではないのだ。2012/08/07
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