内容説明
天下分け目の関ヶ原。ついに戦いの火蓋が切られた! 大坂方西軍に居城・田辺城を包囲された細川幽斎。「古今伝授」を切り札に和議の勅命を引き出し、乾坤一擲、天下三分の計にすべてを賭す。彼の手にはもう一枚「連判状」という切り札があった。生き残りを賭けた戦国史上最大の調略戦は最終局面を迎えていた。全く新しい視点から切りこみ、あらゆる先行作品を凌駕した関ヶ原合戦もの、不朽の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
43
勇ましく戦う男達を描く歴史物も好きですが、裏で工作する頭脳戦の面白さはまた格別です。そんな諜報をメインにしてくれた関ヶ原でした。三成や家康をそっちのけで、朝廷工作や怪しげな連判状の存在が、まことしやかに語られ、もしや史実なのではと思い込まされゾクッときました。三成が残念な役割であるのは仕方ありませんが、吉継との友情がここでも一筋の光のような存在として輝いていました。西軍ビイキなので、それだけが救いでした。2014/08/27
ナオデラ
9
後の安部龍太郎の戦国時代作品の骨子になる物語。近衛前久、細川幽斎、明智光秀の企てた信長暗殺に秀吉が与していたという事実。第3勢力としての細川家と前田家共同による王政復古計画。同著者の葉隠れ物語でも語られていた古今伝授の力。途中中だるみ感はあったが興味深く読めました。2014/11/08
🐾ドライ🐾
8
緊迫の田辺城籠城戦。細川幽斎の仕掛けた駆け引きの成否によっては歴史は大きく変わっていただろう。 上巻では必要かな?と思った石堂多門という作中人物の最期は印象に残る。 作者が描く、黒幕としての近衛前久は出番が少なく目立たないのに、ズッシリとした存在感がある。2016/06/27
suntalk
6
「この戦に敗れれば、私を信じて起ってくれた者達とその一族が死ぬことになる。刑部、それが辛いのだ。」「他人が己の才覚で決めたことにまで責任を負おうとするのは、つまるところ人を低く見ているからだ。武士は己のために生き、己のために死ぬ。自分のせいで死なせたなどと言うのは、その心映えを侮辱するのも同じじゃ。大将が迷えば兵も迷う。少しは殿下を見習ったらどうだ」関ケ原の戦直前の石田三成と大谷吉継の会話が胸を打つ。この物語は細川幽斎の戦いを描いたものであるが、今の国際情勢における日本の立ち位置について考えさせられる。2025/02/15
KTGR
3
あの関ヶ原の合戦に至るまでの過程を細川幽斎と牛首一族の生き残り石堂多門の二人を中心に描かれて行く。 古今伝授ってこんなに重要視されてたんだなあ。エンターテイメント性もあって読みやすいし満足!金沢城嵐の間と合わせて読むと尚良いかも!2014/04/05