内容説明
上杉謙信と戦友の契りを結んだ佐竹義重、石田三成の危急を救った息・義宣。混迷する戦国の関東で、伊達を追い散らし北条も一目置いた荒武者父子。台頭する織田信長・豊臣秀吉ら上方の勢力に対し、坂東の覇者としていかに抗したのか。その苛烈な生き様を描く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フミ
20
戦国時代の常陸の国(茨城県)で、北に南に、源氏の名門の誇りを胸にガンガン戦った、戦国大名「佐竹氏」2代のお話で、父の義重の時代が長めで面白かったです。この志木沢郁(かおる)という作者様、人物の内面を描くのが上手くて、大好きだったりします。75頁程からの「上杉謙信と対面、酒の飲み比べ」というシーンなど、謙信のサバサバした人物像が匂ってくるようで、楽しかったです。しかし、この戦国後期の佐竹氏周辺、昭和初期の日本軍を思わせる孤立感を感じますね…。西を北条に抑えられて、鉄砲や火薬をどう、調達してたんだろ…。2025/04/03
maito/まいと
8
関東と言えば北条、東北と言ったら伊達。おそらく戦国大名の地方別第一声で『佐竹』の名前が出て来ることは希だろう。しかし、源氏の正当な流れを汲み、北条・伊達を相手に数々の激闘を繰り返してきた、間違いなく関東東北のキーパーソン、佐竹義重と息子義宣の生涯を描いた本作は、読み進めていくと、とにかく日々戦い、戦い、戦い・・・生き残るだけでも至難の業だっただろうに、佐竹氏は屈することなく家を守り通す。彼らの戦いは、小田原合戦を経て、関ヶ原の合戦前夜においても重要な役所を見せる。地方大名と侮るなかれ、刮目の一冊だ。2013/09/09
円盤人
5
義重・義宣の小説は箕輪諒『でれすけ』に続き2冊目だが、『でれすけ』が本作にオマージュを捧げたのかと思うほど構成的には似通っている。佐竹二代記である点、義重の陣中に始まり家康との謁見で終わる点、東国武士の誇りがテーマである点等、実にそっくりだ。『でれすけ』を現在の大河ドラマとすれば、こちらは正統派時代劇の印象。大胆な解釈やアイデアの飛躍はないが、家康が東義久を「言葉で殺してしまう」ところなどは実に巧みに描かれている。こういう堅実な歴史小説が書ける作家は得難い。『立花宗茂』に引き続き、ファンになってしまった。2020/10/06
及川まゆみ
4
沼尻の合戦を期待していたんだけど、あんまり書かれてなくて残念。2012/11/24
BIN
4
佐竹義重、義宣親子と北条・伊達との戦いを描いたもの。一応親子の名前がタイトルに入っているが、実際中身はほとんど義重。義重は北に南にと戦ばかりしている印象。謙信や景勝とのやりとりはなかなか面白い。義宣はいいところがあまりないのが残念。2012/10/14