角川oneテーマ21<br> 戦争と日本人 テロリズムの子どもたちへ

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角川oneテーマ21
戦争と日本人 テロリズムの子どもたちへ

  • ISBN:9784047102729

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内容説明

少年たちが従軍した西南戦争から、政治家・思想家を狙った「子ども」による昭和のテロ、徴兵制、知られざる昭和天皇の姿、尖閣問題まで。気鋭の歴史学者と練達のジャーナリストが乱世の時代を見定めるヒントを伝授!

目次

序章 世の中をどう見るか?―歴史に対する眼の動かし方
第1章 政治と正義―原敬と小沢一郎に見る「覚悟」
第2章 徴兵と「不幸の均霑」―「皆が等しく不幸な社会」とは
第3章 反戦・厭戦の系譜―熱狂を冷ます眼
第4章 草の根ファシズム―煽動され、動員される民衆
第5章 外交と国防の距離―平和と経済を両立させる道を探る
第6章 「うたの言葉」から読み解く歴史―詩歌とアナーキズムと
終章 国家と私―勁く柔軟な想像力と、深き懐疑を携えて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

もりくに

25
対談のねらいを、日本近現代史研究者の加藤陽子さんは、今の日本を考える時、落語の熊さん達のようなお気楽でアナーキーな面や、米英を警戒させる程巧妙な外交交渉を行える面など、多様な日本人像を考慮する必要性を力説する。「清く正しく美しい」日本人像を見たい心性の追及も。更に過去の日本人はこうであって欲しいとの、生きている側の「勝手な都合」で歴史を見てはならないと、厳しく指摘する。タイトルの副題の「子どもたち」は未青年だけではなく、義憤や短慮から、暗殺・テロ・クーデターを引き起こす、その「気性」のありかを指している。2018/05/01

りー

22
戦争は軍部が主導したもので、国民は巻き込まれた被害者である、という戦後の感覚は正しいのか?という視点で太平洋戦争を見る対談。特に婦人を中心に組織された「処女会」「国防婦人会」は、社会的に抑圧された女性からの脱却を組織の力を借りて成し、構成員はそれを誇りに思っていた。自己実現としての戦争賛美があったことから目を反らしてはいけない。巧妙に張り巡らされたマインドコントロールの中で熱狂していた方が楽だったのだ。現在の日本と比べながら戦争を考える対談本だった。2022/08/14

昭和っ子

12
「歴史の転換点を巡らせるのはいつだって「子供」なんですね」「子供」とは年齢ではなく、無鉄砲無分別、という意味を含む。老獪な政治家であった原敬が19歳の鉄道技師に暗殺されて、軍部によるファシズムに利いていた歯止めがなくなったという。事件前に犯人が触れていた報道は、原率いる政友会にまつわる賄賂疑惑。報道により「みんながさぁっと一色に染まって攻撃性を発揮する」「なぜ人はある種の短絡的ファシズムに惹かれてしまうのか」「太平洋戦争は日本人の総力戦だったのに、なぜ人々に「だまされた被害者」という意識が残るのか」2013/12/11

irom

5
「みんな等しく不幸でないと許せない」(=不幸の均霑)は確かに意識して否定していかなければと思う。 引用の引用になってしまうけれど、兵士が慰問袋に入れていた小学生からの手紙を紹介するくだりを読んで衝撃というか、怒りとやりきれない悲しみでいっぱいになった。2017/09/07

takizawa

4
歴史を紐解くことで現代日本の構造や問題点が浮かび上がってくることが実感できる対談になっている。中国外交の成熟性を強調する,小沢一郎を持ち上げ菅直人を批判する,という方向でのお話。丁寧に前提知識や問題関心の確認をする形式の本ではないので両氏の著作を丹念に読んでいる人向けかと。興味深いと思ったのは,徴兵制の兵役免除規定が撤廃されていく過程を例に出して「不幸の均てん」という加藤先生の造語が紹介されている箇所。他人の幸せを妬んでしまう人間の心理を利用する統治には注意しないといけない。2011/06/13

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