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内容説明
地球の引力圏を離れて宇宙を航行し、他の天体に着陸してサンプルを採取し、地球に帰ってくる-人類初の偉業を成し遂げた「はやぶさ」は、どんな発想で生まれたのか。そして打ち上げから、イトカワへの着陸、空前絶後の救出、満身創痍の帰還、サンプル確認まで、「生きているのが不思議」とまで言われたミッションはどのように行われたのか。誕生から帰還まで、プロジェクトを先導した著者が「はやぶさ」への思いを語る。
目次
第1章 「はやぶさ」誕生
第2章 イオンエンジン
第3章 スウィングバイ
第4章 イトカワで見たもの
第5章 冬の訪れ
第6章 遠い家路
第7章 帰還
終章 発見
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
132
小惑星に舞い降りて、獲物を捕らえ再び飛び立つ様子から命名された「はやぶさ」。限られた予算の中で2003年5月に冒険は始まった。イオンエンジン搭載。スウィングバイ、イトカワ降下オペ、サンプルリターン。初めての挑戦はトラブルの連続。燃料漏れ、広い宇宙空間での音信不通のなか偶然の発見。2010年6月地球へ帰還。当初はカプセルのみ地球軌道に突入させ、新たな探査に旅立つ予定も断念。母船ごと大気圏に突入した。…母船が流星と燃え尽きる。1500の粒子を持ち帰り、その後の研究では水の痕跡を発見。宇宙への夢は正夢となった。2019/04/27
マーム
21
「カラー版」と銘打つとおり、カラーの写真や図版がふんだんに使われており、読んでいて楽しい本でした。 「「がんばりましたが、惜しくもできませんでした・・・・・・」では駄目であること、どんなに這いつくばってもよろめいてもゴールしなければならないと悟らされた」という文面から、著者等は科学者であると同時に技術者なのだと再認識しました。このミッションをやり遂げるのだという技術者魂が感じられました。 ややもすると著者の言葉はセンチメンタリズム過ぎるきらいがありましたが、7年間の苦労を思うと致し方ないところでしょうね。2011/08/04
テイネハイランド
15
2010年の地球帰還の際には関連映画が4本もできるほど注目を浴びた「小惑星探査機はやぶさ」に関する本で、著者は、現場責任者の川口氏。なにより、この本のテーマの探査機そのものが、重力を利用して加速する「スイングバイ」航法、惑星着陸時の誘導航法、形状記憶合金を用いた採取試料の搬送システムなど、いい意味で「大の大人が夢中になるおもちゃ」感にあふれていて、読んでいて楽しめる。また、数々のトラブル時の具体的な対応など、危機対策の面でも興味深い。この本だけだと細部がわかりづらい箇所もあるので、関連本も読んでみたい。2016/11/05
あひ
10
プロジェクトマネージャの川口さんによる「はやぶさが還ってくるまでの全軌跡」が書かれた本。若干難しい説明もあったが、詳細な記述を読んで「ここまでスゴイことだったのだ!」と改めて感動した。 はやぶさに対する愛情、ミッションにかける情熱、誰もなしとげたことのない最先端の技術を厳しい環境の中意地と知恵と機転によって成し遂げた強さ、「大和魂」とはきっとこういうことなのだと思う。引き続き「はやぶさ」がもたらしたサンプルの行方に注目したい。2012/01/28
牧神の午後
8
もうこれ以上涙を絞り取るのはやめてもらいたい、というくらいに大泣き。昨年一躍時の人となった川口プロマネによる科学的解説も加えたはやぶさ本。「こんなこともあろうかと」を地で行く奇蹟な運用も、じつはすんげえ綱渡りだったり、という内実が暴露されているのも興味深いけど、やっぱり健気に頑張ってくれたはやぶさにただただ泣かされる。 奇数ページ左下に打ち上げから帰還までのはやぶさの軌跡が描かれていてパラパラマンガのように楽しめるのが気が利いてて、遠い旅路に想いを馳せる助けになった。2011/03/09