内容説明
我と我が嘘に疲れ果てた作家が誰にも見せないと決めて書いた本当のことだけを綴った日記。僕は作家だ。だが執筆中の小説はまったく進まない。たまには本当のことを書きたい。これはフィクションに疲れたマイナー作家の、ささやかな休暇としての日記だ。誰にも見せないのだから嘘は書かない。そういう意味で、僕はこの日記を真実真正日記と名づけよう。虚と実のあわいを絶妙に描き出す慟哭の記録。(講談社文庫)
目次
日記の書きはじめ/比々さん/文差点の騒動
新店コンドル/矢村の素晴らしい文学/暴動の予感
猿の不安/執筆の停滞/鈍くさい店でスカタン
ブライトな若者/コンドルの不始末/花火と爆撃狂
嫉妬の感情/撮影所見学/鰻の食べ過ぎで苦しい
言葉が通じない/海もどきの怪/農業の勉強
寂しいおっさん/頭のなかの猿/辺多子さんの「茶漬節」
僕は幕下/バンド名決定/地獄の忘年会
奴隷制復活論/メッセージソングの失敗/串カツ屋で大喧嘩
縁起をかつぐ癖/ふわふわの兄ちゃんとオガタ/比々さんを招待〔ほか〕