講談社学術文庫<br> 冒険商人シャルダン

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講談社学術文庫
冒険商人シャルダン

  • 著者名:羽田正【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 講談社(2014/10発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062920209

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内容説明

多様な宗教と言語が行き交うペルシアで成功を収めた商人にして旅行記作家のジャン・シャルダンは、新教への迫害が続く息苦しい故郷・パリを捨ててロンドンに移住し、爵位を得た。しかし、彼の最大の悩みは、怠け者の長男の行く末だった――。時代に翻弄されつつ「一級史料」を書き残した市井の人物の生涯と、彼らが生きた17世紀の社会を活写する。(講談社学術文庫)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サケ太

19
フランス生まれで、ペルシャやインドに行き、旅行記を書いた商人ジャン・シャルダン(Jean Chardin, 1643年 - 1713年)。彼が赴いた国の先で赤裸々に綴られる旅行記。彼の人生の波乱万丈さ。宗教的価値観が今よりも生活に強く影響し、大きな差別を生んでいた時代。その雰囲気を感じられる良書。彼の見た『ヨーロッパ』と『イスラーム世界』の当時。そして、その柔らかさが逆転したその理由に関する考察。バイタリティ溢れた前半戦と寂しさを感じさせる後半生の人物の魅力が見えた。「彼は旅することで名をなした」2020/09/06

kuroma831

8
17世紀フランスの商人シャルダンの一代記。サファヴィー朝ペルシアのイスファバーンに2度旅をして財をなした後、ユグノーが禁止されたフランスからイギリスに亡命し、叙爵を受けて名士として生きる一生を描く。カトリック以外への圧力が増していくフランスに産まれたプロテスタントのシャルダンから見た、当時のイスラーム世界が新鮮で面白い。フランス人意識が強く愛国心に溢れたシャルダンがナントの勅令廃止で国を捨て亡命するくだりは寂しい。サクッと読めつつ、等身大のシャルダンの人生を追体験できて非常に面白い本だった。2023/12/31

人生ゴルディアス

6
タイトルが最高にダサくて好感度上がる。26年前のラノベに『冒険商人アムラフィ』というのがあるあたりで察してほしい。多分どっちの著者も同じ歳くらいではなかろうか。フランス生まれのシャルダンが商いでサファヴィー朝イランに向かい……という半生記。内容はとてもわかりやすく書かれていて、かつ、注にも気合が入っていて、講談社学術文庫さんこれこれこういうのです、という感じ。ユグノーの歴史にも触れられるし、なによりサファヴィー朝イランの話が多かったのが非常に良い。オスマンの本が少ないならイランの本はもっと少ないのだ…2020/08/05

サアベドラ

5
17世紀サファヴィー朝の旅行記・博物誌の著者として知られる実業家ジャン・シャルダン。本書は彼の波乱に満ちた生涯を、著作や書簡史料を用いてまとめた労作。彼の視線を通して、様々な宗教や民族のもとで束の間の繁栄を享受するペルシアと、宗教戦争に明け暮れ、国民国家建設にひた走るヨーロッパ諸国を対照的に描いている。文庫版あとがきで著者が反省しているとおり、イスラーム世界とヨーロッパ世界を二項対立的に捉える発想はヨーロッパ的な思考法でありフェアではないと思う。ただの波乱万丈の豪商伝として読めば、単純に面白いのだけれど。2011/01/29

はまち。

1
近世、主に17世紀を生きたシャルダンという人物に焦点をあてた本。彼は冒険商人とタイトルにもある通り、ヨーロッパ、イスラーム(ペルシア・インド)、カフカース地方といった広大な空間を生きた商人であり、旅行家であり、熱心なプロテスタント信者であり、厳格な親でもあった。彼は商人として生きていくのに必要な資質(即決断力、柔軟性、金銭への執着心、信仰心)を兼ね備えていた。卒論の足しになればと思って読んだが、普通に読物としても面白かった。卒論に全然関係ない4章、終章で少しうるっときてしまった。今年の読書で暫定1位!2016/02/19

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