中公新書<br> アメリカと宗教 保守化と政治化のゆくえ

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中公新書
アメリカと宗教 保守化と政治化のゆくえ

  • 著者名:堀内一史【著】
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 中央公論新社(2014/01発売)
  • 中央公論新社 GW特大フェア ポイント40倍!(~5/12)
  • ポイント 320pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121020765

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内容説明

アメリカは、二億人を超えるキリスト教徒を抱え、その八割が「天地創造」を信じ、教会出席率・回心体験でも群を抜く保守的な宗教大国である。一九七〇年代以降、宗教右派が政治に参入し、レーガンの大統領当選に貢献するなど、表舞台に登場。二一世紀以降、ブッシュ、オバマは宗教票を無視できなくなった。本書は、世俗への危機意識からリベラル派が衰退し、保守化・政治化していく過程を中心に、アメリカの宗教の実態を描く。

目次

序章 アメリカ宗教概観
第1章 近代主義と原理主義の闘い-『種の起源』と高等批判
第2章 宗教保守化の背景-南部福音派のカリフォルニア流入
第3章 主流派とリベラリズムの隆盛-一九三〇?六〇年代の潮流
第4章 原理主義・福音派の分裂-新福音派・福音派左派の登場
第5章 政治的保守の巻き返し-ゴールドウォーターからレーガンへ
第6章 宗教右派の誕生-自閉から政治の世界へ
第7章 大統領レーガンと宗教右派の隆盛-一九八〇?九〇年代の政治との関係
第8章 共和党ブッシュ政権と宗教右派の結集-政策への関与と失敗

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

68
2010年の著。アメリカのキリスト教各派、それも長老派やメソジストといった教会各派ではなく、その信仰のスタイルであるリベラルな主流派と、保守的な福音派という区分を使い、主に20世紀100年の盛衰の動きと民主党・共和党、特に大統領選挙への関わりを軸にして政治と宗教のリンクを解き明かそうとしている。したがって実質的には『アメリカ政治とキリスト教』といった内容。本書から見えるのは、宗教右派(福音派)の台頭が単純に共和党を支えているわけではないということ。信仰ゆえに政治から距離を置く考え方もある。2023/03/28

coolflat

16
米国と宗教、保守化の流れ。1925年のスコープス裁判(進化論論争)を境に、米国のプロテスタントがそれを受け入れる主流派と断固拒否する原理主義者(福音派)とに分派→第二次世界大戦を背景にして防衛産業がカリフォルニア州を中心に繁栄。この「防衛移住」の中心が南部福音派労働者。福音派の領域が南部から中南部、西部へ拡大→公民権運動を期に福音派は民主党に見切りをつけ、共和党支持に転向→ネオコンと福音派が結びつき、レーガン政権下で新自由主義→04年ブッシュ再選時が福音派の絶頂期→06年共和党惨敗により、宗教右派は衰退。2016/02/06

おおかみ

13
6割以上の国民が神による「天地創造」を信じるアメリカ。そんな宗教大国において、宗教と政治がいかに密接に関わり合ってきたのかに注目したのが本書である。たとえばプロテスタントは主流派と福音派に大別されるものの、政治的イデオロギーや社会問題に対する態度などで細分すると、実に多様な派閥を有することが分かる。宗教と政治の関係といっても、その構図を描くのは困難な作業なのだ。専門的な予備知識なしでそれを概観することができる優れた一冊である。2010/11/14

owlsoul

11
神による天地創造を6割以上の国民が信じている国アメリカ。信仰の中心となるのはプロテスタントであり、大別すると主流派・福音派・黒人教会の三つに分けられる。社会問題に敏感で、聖書の内容を柔軟に解釈する主流派。聖書に絶対的価値を置き、社会問題よりも伝統的信仰の継承に関心を持つ福音派。福音派に属しながら福祉や人権に強い関心を示す黒人教会。ローマ教皇に権威が集中するカトリックと異なり、聖書にのみ権威を認めるプロテスタントは、その解釈によって無数の宗派を生み出し、政治家はその複雑な組織票を取り込むために腐心する。2023/04/23

だいふく

11
宗教は人の世界観を規定するため、人の集合体である社会のあり方にも影響を及ぼします。 本書は、米国の宗教と政治社会との関係性を時系列に沿って概括しています。オバマ政権までを取り上げていますが、現トランプ保守政権を支える勢力は、トランプを自己の拠り所にする点で、ブッシュ以前の保守像から大きく変化しています。 米国は宗教観の保守化・政治化により、今後も断裂し続けるのかもしれません。信仰と政治の保革が直ちに一致はしない点が複雑ですが、穏健な市民から遊離していく宗教が行き着く先はセクト主義なのかもしれません。2020/12/17

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