内容説明
多島海イオニア地方に起こり、ソクラテス、プラトン、アリストテレスへと繋がる古典期のギリシア哲学。自由・真理の探求を旨とする思想は、アレクサンドロス大王以降のヘレニズム期にどのように展開したのか。エピクロス、ストア派のゼノン、クレアンテス、セネカ、懐疑派のピュロンなど、運命への関心、生き方の探求を主眼とした思想家たちを紹介。
目次
第1章 ヘレニズム思想とは何か(ヘレニズム思想とわたくし;ヘレニズムとその思想―本書の主題について;ヘレニズム思想の特質―ギリシア思想のなかでの位置)
第2章 ヘレニズム思想家の群像(エピクロス派;ストア派;懐疑派)
第3章 ヘレニズム思想家の著作(エピクロス派;ストア派;懐疑派)
第4章 ヘレニズム思想の後世への影響(エピクロス哲学の思想的射程;ストア派の思想の影響;古代懐疑論と懐疑的方法)
著者等紹介
岩崎允胤[イワサキチカツグ]
1921年東京生まれ。1943年東京大学法学部卒業。1949年東京大学文学部卒業。北海道大学教授、一橋大学教授、大阪経済法科大学教授を歴任。一橋大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さえきかずひこ
13
紀元前4世紀からの約300年間=古代ギリシア〜ローマの時代、つまりヘレニズム期におけるさまざまな哲学について概説する一冊で、とくにエピクロス派、ストア派、懐疑派について細かに書いてある。入門書にしては著者の専門的な知見が大いに投じられ、欲張り過ぎの内容という気がするが、一度読んですべてを理解できるようなものではなく、折に触れてページをめくり直すことを必要とする著作と感じた。辞書的な用い方が有用か。中近世におけるヘレニズム哲学の影響を記した第4章がなんといっても読みやすく、素人にも噛み砕きやすい内容である。2019/05/11
mstr_kk
7
「哲学のやさしい入門書を読んで要約する」シリーズとして読みました。もともと、ドゥルーズの『意味の論理学』を読むためにストア派論理学の基本を知りたかったので、新刊で出回っていないこれをラインナップに入れたのでした。第1章ではヘレニズム思想をそれ以前のギリシア哲学と比較しており、第2章はヘレニズムの思想家たちの人生の紹介、第3章が思想的な内容(現存するテキストの抜粋と大量の註)、第4章が後世への影響。いくつもの流派を一冊で扱っているので、理解しながら読むのはかなり大変でしたが、非常に勉強になりました。2017/06/26
左手爆弾
1
過不足なくヘレニズムの思想家について述べられている。基本的にはディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝』の記述に従いつつ、ヘレニズム思想の前提・特徴・列伝・著作抄訳・後世への影響が収められている。これ一冊で、大づかみができるようになっている。ヘレニズムの哲学は「個人主義・倫理優先・自然神学」を特徴とする。具体的に取り上げるのはストア派・エピクロス派・懐疑派(ピュロン主義)である。『ギリシア哲学者列伝』に従っているためか、情報量が多いが、整理を少し欠く部分もある。必要に応じて部分読みが必要か。2016/04/02
almadaini
0
アリストテレス以後のギリシャ思想の入門としてはわかりやすかった。近代世界への影響なども簡略に書かれている。2009/10/18