内容説明
都会に暮らす「わたし」が遭遇する小さな事件や出来事。それらは本当に起きたのか、それとも「わたし」の妄想なのか。胸に迫る人やもの、音や情景を辿って、現実と非現実のはざまをたゆたう24篇。新しい都市奇譚として話題を集めた作品集の待望の文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
51
表紙のスッキリ感が好きで借りてきたのですが、半分読んでギブアップ。エッセイと思いこんで読んでいて、途中でギブする前に他の方の感想を拝見した上で読み続けるか決めよう・・あら、どうも短編だったようです。「狼男のこと」を読んで、気持ちがささくれていたのです。物語ならと読み続けたのですが、全体に流れる雰囲気にのれず、「なくしたピアス」で打ち止め。写真が暗い感じだったのが影響したのかもしれません。物語の始まり部分のフォントが大きくなっているのも違和感があり苦手でした。2016/09/26
マドロス
32
フィクションなのかノンフィクションなのか、夢なのか現実なのか、なんとも不思議な本でした。2016/11/18
あんこ
28
単純な言葉が紡ぎ出す文章が心地よく胸に染み込む。見知らぬ街であるはずなのに、一度自分でも体験したような不思議な読後感。いつまでもこの中に居たいと思っていたら、いつの間にか長い夢を見てそれが覚めたようにはっとして現実に立ち返る。「図鑑少年」という美しいことばと、シンプルな装丁に惹かれて手に取った。もっと、描かれたモノクロームの都会に埋もれていたい。2014/04/09
かっぱ
19
明け方にみた短い夢のような短編が24編。印象に残るような残らないような、現実なのか夢なのかわからないような感覚。流れていくボールを追う親子の姿が一番心に残った。2013/12/31
柊渚
18
この世界のどこかに続いているようで、どこにも存在していない現実を束ねた短編集。空想を孕んでいるのに文章はとても写実的で、その風景や匂いまでもが鮮明に浮かんでくるよう。ここには確かなものなんて、なにひとつないというのに。 2025/01/14