内容説明
葛城冬馬、13歳。明治元年生まれの髷頭の少年は、東京大學医学部教授・ベルツ宅の給仕として働くことになった。古式ゆかしき日本と日本酒をこよなく愛する教授は、比類無き名探偵でもあった。米国人水夫殺害事件、活き人形が歩き出す怪事……数々の難事件を、冬馬の調査をもとに鮮やかに解決してしてゆく。史実を絶妙に織り交ぜながら綴る、傑作ミステリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
115
北森さんの明治時代を舞台にした連作短篇集です。主人公は「ベルツの日記」で有名なエルウィン・ベルツとその給仕である髷頭の少年です。5つの作品があるのですが、北森さんらしく題名の付け方で関心してしまいました(主に海外ミステリーを読んでいる方はすぐわかると思いますが)。「ベルツの日記」を何度も読んでいるので作品に入りやすく楽しく読みました。もう少し長生きされて更なる連載を期待していましたが。2023/10/24
眠たい治療家
57
明治13年。帝都大學医学部教授・ベルツの給仕となった葛城冬馬、13歳。冬馬の周辺で起こる、明治という変革の時代ならではの奇妙な事件。冬馬の集めた情報を元にベルツの視点から明かされる事件の真相。ベルツ・フェノロサなど、明治期日本に滞在した実在の人物が、様々な事件に関わってきて興味を惹き、その登場人物達がユーモラスで、明治の暗澹たる闇を照らす。日本が手探りながら変化していく、明治という時代の雰囲気がとても感じられ、主人公・冬馬の成長を見守りながら、同時に日本国の成長・変遷がうかがえる。私的には好みの作品。2011/02/04
たち
43
題名が色々なミステリーのパロディになっている事を、買ってきて暫くたってから気が付きました。鈍いにも程がある…。で、そういうふざけた話かと思いきや、内容は維新後の混沌とした明治時代が舞台で、何やらキナ臭くなってきた世の中を反映した、不穏な事件が面白かったです。ひとつ不満な点は、主人公の冬馬君がどんどん大きくなってしまったところ。ずっと髷頭の13才の方が可愛いくて良かったのにと、思いました。2018/01/06
み
36
面白かったぁ♪続編はないのよね…(T-T)続きがありそうな最後なのに。白人の男の人が打ち掛けや白無垢を部屋着にって、想像すると怖すぎます(^^;この作品で描かれてる時代って、空気が重たいような。2015/07/02
GaGa
32
軽~いタッチで語られてはいるが、内容的には案外重たいものもあるなあ(笑)ベルツ、スクリバ、ボアソナードなど日本の近代化に貢献した異人さんたちが実名で登場。花瓶をお銚子代わりにつかうというのには笑えた。ただ、それぞれのタイトルがああなっているから、少し横田順彌チックなものを期待してしまったが違った(笑)2011/10/09