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内容説明
貨幣経済を刺激した田沼時代は商業の活性化に貢献したが、農村、都市双方に疲弊を招き、しかも浅間山爆発や大洪水という自然の脅威によりその政策は破綻、各地で百姓一揆や打ちこわしが続出、ついには定信の登場となる。彼は内外に危機を抱える幕府の立直しに腐心、直面する課題を慎重に処理して「名君」を称されたが、気紛れな世間に、いつしか保守政治家の烙印を押されて挫折し権力の場を去る。バブル崩壊の今、定信は甦るか?
目次
朝幕関係の枠組み作り(大政委任論の表明 御所造営問題 尊号事件)
対外関係の枠組み作り(朝鮮外交の転換 ロシア使節来日と「鎖国」 国防体制の模索)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
耳クソ
20
定信には欲望がない、あるいは、そのクソ真面目さは他人に押しつけるサディズムと自分を律するマゾヒズムの側面を併せ持つ、とされてきた。そして実際不気味なまでにクソ真面目なのであり、本書はそういったクソ真面目が歩んだ道を辿りながら、しかし評伝的なパーソナリティには踏み込まない。そのクソ真面目さが世紀末の日本に何をなし得(てしまっ)たか、何をなし得なかったかを見ていくと、実は「内面」なんかよりどす黒いフェティッシュな欲望が見えてくる気がする──それを喚起したのは天明の打ちこわしである。革命は勝利し続けている。2023/07/05
我門隆星
1
「老中」としての松平定信に限定。今度は、もっと多面的な定信像を活写した書籍を読みたい、とも思う。2011/07/24
Pyonkichi
0
松平定信の評伝ではなく、老中在任中の事蹟を論じた本。定信の視点から見た寛政改革論として読んだ方が良い。定信の老中就任は幕政の慣行からみて異例であり、それを支えたのは一橋治済と御三家であったが、決定的だったのは江戸市中での打ちこわし発生により、田沼派が信望を失ったことであり、その点が「封建的社会政策」ともいわれる定信の内政方針を規定したとする。2017/09/04
寝子
0
やはり改革は人事から。2012/01/08
denz
0
寛政期の徳川政権の危機から天皇の再発見の政治過程。2010/11/20