内容説明
あらゆる揺れるものに悪寒を催す「ブランコ恐怖症」である八郎。その強迫観念の裏にはある戦慄の事実が隠されていた……表題作を始め、初文庫化作品17篇を収めた珠玉の風太郎ミステリ傑作選!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばりぼー
38
「ベストコレクション」を謳っていますが、いわゆる選りすぐりの傑作集ではなく、単行本未収録作をまとめた拾遺集なので、正直なところ玉石混淆という感じです。なかでは、タイムスリップものの「江戸にいる私」、連作短編「女探偵捕物帖」、豪快な大トリック炸裂の「白い夜」などは、充分楽しめました。とにかく、その着想の奇抜さにはたまげます(笑)。合理性とか必然性をまるで無視しているので、荒唐無稽と紙一重。昭和20年代発表という時代性を考慮して、リアリティを求めてはいけません。2002年度版の「このミス」第7位です。2014/01/22
けやき
13
久々に山風で未読の作品を堪能しました。パンパンのへそを盗んで天誅を下す盗賊団の出てくる「パンチュウ党事件」とタイムスリップものの「江戸にいる私」がお気に入り。2015/09/19
ぐうぐう
13
とにもかくにも、おもしろい! 本格仕立てのミステリから始まり、ナンセンス、ユーモア、SF、奇想、風俗などなど、自由自在にジャンルを越境し、それでいて、どれも山田風太郎色で染め上げられた短編達。驚かされるのが、ここに収められた短編すべてが、単行本未収録作だということ。その事実ひとつとっても、山田風太郎という小説家の、凄みを知ることができる。本当におもしろすぎるのだ!2011/01/03
mtngsng
8
ミステリーありSFありナンセンスあり、ミステリーでも機械トリックあり心理戦ありトンデモありとバラエティに富んでいる。トリックは正直わからない部分もあるけど、動機が一般的なものではなく時代や社会を反映していたり、人間の奥深い苦悩だったりと、そこが50年ほど経過した今でも読んでいて楽しめる。収録作品では「こりゃ変羅」と「江戸にいる私」も好きだが、「女探偵捕物帖」の連作短編がおもしろかった。三人のキャラや過去が気になるし、何よりも最後にまたええっ!という展開があったのかなと思うとこれでお終いというのが残念。2012/11/12
みお
7
山田風太郎らしい、奇妙で奇想な短編集。おもしろい!『二つの密室』、本格ミステリファンとしてはにやにやしながら読みましたが、十三号独房の完全なネタバレにはびっくり。いやいや、これは〜……。未読の方は、先に『世界短編傑作集1』を読まれることをおすすめします^^;『三人の辻音楽師』が、すごくお気に入り!だけど、中途半端な感じだったのが残念……。しっかり完結まで読みたかったなぁ。2011/09/16