内容説明
「生きられない孤独」から「生きるための孤独」へ。
いま、子ども・若者が生きていくためになにが必要か。
孤独を抱えている子どもや若者が抱えているものに対して、しっかりと向き合うための一つの答えが、ここに。長きにわたり子どもの犯罪や家族の問題などに対して鋭く分析してきた芹沢俊介と、家庭裁判所調査官として子どもや若者、家族と臨床現場で向き合ってきた、現大学教授の須永和宏による二人の往復書簡。子どもの視点に立つ2人が、子どもや家族にまつわる様々な出来事を鋭く分析し、根底にある問題をしっかりと引き出します。
目次
ゼロトレランス
バトルロワイヤル状況
「怒り」の感情
親殺しに先行する子殺し
親子のボタンのかけ違い
秋葉原の事件から
十四歳のバスジャック事件から
教育家族
不登校
発達障害
自閉症の子どもたち
『自閉症だったわたしへ』から
トイレで食事をするが
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
21
評論家と家裁調査官を務めた大学教員が子ども・若者をめぐる閉塞感についてしたためた往復書簡をまとめた本。第一次安倍政権下で進められたゼロトレランス政策やその後の少年法改正など、子どもを道徳規範で縛り、かつ司法の場における少年の厳罰化が時代背景として重要である。基本的に学校では特定の規範意識で画一化され、さらに競争主義が家庭に浸透していく中で、家族や友人を含めた他者に対する信頼関を失った子どもと若者が増えたという時代分析となっている。佐賀のバスジャック事件や秋葉原の無差別殺傷事件も取り上げられ、興味深かった。2024/02/12