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内容説明
シマいちばんの女学校に通う主人公・サンらは、クラスメイトとともに学徒隊として戦地に赴く。戦況の悪化とともに、ひとり、またひとりと仲間を喪っていく中、世界の凄惨さと自己の少女性との狭間でサンは……。 戦後65年。新世代の叙情作家が挑み描いた衝撃の長編傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
185
沖縄戦のひめゆり隊をベースに過酷な戦闘下の女学生達の日常を描く。平穏だった女学生達の日常を、圧倒的な戦争という暴力が奪いとる。ひとり、またひとりと理不尽に失われる命。砲撃によるもの、戦火を逃げ惑い衰弱死するもの、自ら自決し死を選ぶもの。戦争が一般市民にもたらす不条理が柔らかい絵柄で描かれ、より一層、胸に迫る内容となる。純粋な女学生達が主人公のため訴える力が強い。このような不条理が世界のどこかで今も起こっている。我々はこのような不条理な出来事を忘れてはならない。学校図書等で多くの人に読まれて欲しい作品です。2016/01/04
国分太一そっくりおじさん・寺
112
これは名作だ。戦後70年の終戦記念日の今日に読めて良かった。沖縄の『ひめゆり学徒隊』の漫画物語。ガチカチの史伝的なものではなく、ファンタジックな雰囲気もありながら、確かにこれが歴史だという感じがある。素晴らしい。今日マチ子の漫画は『ダ・ヴィンチ』でしか見た事がなかった。あの軽くて可愛らしい絵ながら、『はだしのゲン』と同じくらいの衝撃があった。アニメなどには戦う少女というのがよく出て来るが、実際の戦線の少女には戦闘者でなくともこのような悲惨があるのだ。読み進める度に断腸の思いが積み重なる。お勧め。2015/08/15
新地学@児童書病発動中
97
沖縄戦で少女たちがたどった過酷な人生を浮き彫りにする作品。柔らかい線を使った繊細なタッチで描かれていることが、かえって戦争の悲惨さを浮き彫りにしている。目を背けたくなるような残酷な場面が出てくるので、読み切るには覚悟が必要。お国のために戦えないと言って、少女の一人が自分を傷つける第8話は、涙なしには読めなかった。戦争とは本当に残酷なものだ。無垢な少女にこれほどのことを強いるのだから。題の「繭」が効果的だ。主人公は繭を破って新しい生活を始める。読み手も自分の殻を破って覚醒する必要がある。2017/11/06
鷺@みんさー
75
こんな風に泣いたのは、いつぐらいぶりか。…こうの史代『この世界の片隅に』を思い出すが、この作品はもっと、もっともっとずっと、恐ろしかった。怖かった。凄まじかった。痛くて痛くて堪らなかった。火傷と、内臓と、うじ虫と。自決で飛び散りバラバラになった胴体や手足。そこに、少女たちの無邪気な笑顔が、残酷な相貌へと塗りつぶされていく。ひめゆり部隊の本はこれまで何冊も読んでいたのに。声をあげて泣いた。悔しかった。唇を噛んだ。なぜ?という思いばかりが駆け巡る。¨本当は誰も死にたくなんてなかった¨のページが胸に突き刺さる。2019/06/08
天の川
56
可愛らしい絵柄、ふわふわとした少女たちの他愛もない会話。本当ははじけるような笑顔で笑って、笑って、過ごせるはずなのに…読みながら、何度そう思ったことか!昭和20年の沖縄。彼女たちは看護学生として従軍し、地獄の中に身を置いた。「男の人は白い影法師。私たちは雪空のような白い繭に守られている」とおまじないをサンにかけたまゆの秘密。過酷な運命に翻弄された彼女たち一人一人が、戦争の酷さを今に生きる私たちに訴えてきている。読むべき作品だと心から思った。2021/02/28




