内容説明
2013年1月26日、映画公開! 小学校の卒業式で起きたとある事件をきっかけに、団地から出られなくなった少年・渡会悟。彼はそこで一生を過ごす決意をする。だが月日が経ち、同級生は減り、最愛の恋人も彼の前から去ろうとしていた。限られた世界で生きようとした少年が、孤独と葛藤の中で伸びやかに成長する姿を描く、青春小説に革命を起こした鮮烈なるデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワレモコウ
56
初読み作家さん、デビュー作。小学校卒業式の事件をきっかけに、団地から一歩も出られなくなった悟。団地という閉鎖的な世界だけで、恋をして就職をして学んでいく。そして、次々と団地を出てゆく同級生が増えて、最後の方ではとうとうゼロになってしまう。やがて、団地から出られなくなった事件が明らかになり、ヒーさん(悟の母)の日記で、母の想いも明らかにされる。涙必須。濱田岳の映画も見てみたい。2022/09/20
BlueBerry
40
映画化されたと言うことで読んでみた次第。大まかなストーリーは知っていたのでザックリ読んでラストを知りたかったのが主な目的でした。思っていたよりも淡々とストーリーは進んで行きますね。2014/03/23
zanta
19
105/4/5/2015 その原因となったことがわかったとき、胸が痛くなった。十七年を経て、ようやく団地から出られたことを祝福したい。戻る場所がなくなっても、いつか皆と再会できたらいいとおもう。2015/04/05
しろ
12
☆7 ほんの少しの場面だけから描いたというのがよく分かるくらいに自由な展開。団地という狭い中だけで生きていこうと、小学生のころから決めて本当にそうしていく渡会少年。いろんな同級生と別れていく。まさにさよならの小説。そんな偏屈な主人公だけど、そこにある孤独や葛藤はありふれたものであったり、しっかりと成長していったりするので、地に足ついた読み心地。どんどんと辛い現実が襲ってくるけど、よくある達観系の主人公じゃないからそのもがき方に親しみを覚える。でもなんだか不思議な物語だった。2012/12/26
90ac
9
小学校の卒業式以降、30歳になって団地を出るまでの18年間の少年の「団地内だけ」の生活を400ページに亘って展開するという凄い小説です。180ページ位読んだとき、初めて「登校拒否」と「団地から一歩も外に出ない」理由がわかる。この小説はそういうテーマだったのかと初めて気付く。当然18年も経つと友達は団地からいなくなる。そのあたりも旨く創ってあって読み進むうちにだんだん切なくなってしまう。2011/12/08