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内容説明
第一次世界大戦の悲劇を繰り返さないため、一九二〇年に史上初の普遍的国際組織として生まれた国際連盟。常任理事国、集団安全保障、一国一票原則など、その後の国際関係の枠組みを創り、当初は各国間の紛争解決に貢献した。だが三〇年代、満州事変、再軍備をめぐり日独が脱退、国際環境の激変のなか理想は徐々に潰えていく。本書は、二六年間の軌跡を精緻に辿る。さらに四大国の一角を占めた日本・日本人の行動に光を当てる。
目次
序章 国際組織の源流-第一次世界大戦以前
第1章 国際連盟の発足-四二の原加盟国(民間による構想-大戦中の模索
パリ講和会議-連盟規約をめぐる駆け引き
「大国」となった日本
アメリカの不参加)
第2章 希望と実現の時代-一九二〇年代の試み(理事会と総会
ドイツ加盟とブラジル脱退
国際紛争への対応-頻発する領土・国境問題
経済・社会・人道・文化面への対応
一九二〇年代と国際連盟-米ソとの関係)
第3章 国際連盟と日本-外交大国としての可能性(協力関係の模索
活躍した日本人
日本国内での評価-普及活動と限界)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヤギ郎
14
国際連盟の始まりから終わりまで書いた本。国際連盟は国際連合の「実験」であったといえる。これをもとにより強固なシステムが国際連合にできあがった。インターネットの普及や飛行機の開発などにより、国と国の関係が身近に感じるようになる。この時に世界の諸々の問題の解決にあたる国際連合の存在が大きくなるだろう。未来の国際体制を楽しみにさせる一冊でした。2015/08/27
穀雨
10
第二次世界大戦の惨禍を防げなかったという否定的な文脈で語られがちな国際連盟について、当時の時代背景を踏まえて再評価してみようという試み。軍縮や集団安全保障といった政治・軍事面では思うように成果を出せなかったものの、保健事業や国際交流といった社会・経済面では、ときに非加盟国も巻き込みながら着実に成果を収めていたことが折に触れて指摘されている。1946年に開催された最後の総会の描写はなかなか感動的だった。2025/05/02
かんがく
10
戦争を防げず失敗に終わったイメージの強い国際連盟にも、保健衛生や知的協力など大きな成果があったことを強調。それにしても両大戦間期はとても短いな。2020/08/12
千住林太郎
5
国際連盟の前史から終焉までを概観し、国際連盟の意義と課題を解説した本である。 国際的な法規範の樹立や侵略の違法化、公衆衛生の改善や国際社会へのNGOの関与の促進など国際関係の深化に国際連盟が貢献したとともに、使命感をもった職員たちの活躍がその裏にあったことが印象深い。 もちろん、強力な制裁手段がなかったことやアメリカの不参加もあり、大国である日独伊の軍事行動を止めることができなかった。それは安保理と国連軍を定めた国際連合でも続いている問題である。 1930年代を想起させる現在だからこそ読むべき本だろう。2022/03/20
coolflat
5
国際連盟には加盟国が領土の保全をお互いに保証する旨を約束し、違反した国が生じた場合には国際連盟全体が制裁を科すという集団安全保障の目的があった。侵略、特に常任理事国の侵略が起きた時、即ち満州事変への対応は国際連盟の本質的弱点を露呈した。なぜなら19人委員会という大規模な多国間枠組みで話を進めたからだ。国際連合はその反省を元に集団安全保障機能を強化し、安全保障理事会という形で大国の地位を強化した。大国同士の牽制もあり現在まで大戦は起こっていない。だが大国の侵略(イラク戦争など)という面では上手くいってない。2014/12/14
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