内容説明
伝統も宗教も失って、無力に死に直面する日本人に救いはあるか。どこに「死に支え」を求めるか、がん専門医が、2万人の治療に関わって考えたこと。
目次
序 「死に支え」がない国、日本
1 私たちのカラダは星のかけら-宇宙の誕生と死
2 絶対時間と私の時間-「永遠」と「一瞬の人生」
3 進化の中で、「死」が生まれた-もともと、寿命などなかった
4 大脳が生んだ宗教-死を飼い慣らすために
5 死のプロセス-多細胞生物の死
6 死の決定をめぐって
7 「がんによる死」の正体-がんの進化論
8 宗教なき時代の死の受容-何を怖がっているのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あび
11
日本の死刑囚は死刑執行日を当日の朝知らされるらしい。知ってから二、三時間後に執行だそうな。。。2015/12/08
けろ
5
緩和ケアが残された時間の質をあげ、患者と家族を救うということがよくわかる本。痛みは心を折る。苦痛から解放される緩和ケアが有難い恩恵のように感じられる。死ぬことをその瞬間まで意識せずにすむ「ピンピンコロリ」というのは、確かに「死」について全く考えない発想であり、老人でさえそうなのかと改めて日本人が死を忘れていることに気が付く。死からは逃れられないのだから、宗教があればどれだけ気が休まることだろう。2021/10/11
アルパカくん
2
読みやすく、内容も広くて身近に感じられてよかったです。死について、いろんな視点からの話を軽いタッチで読めるという意味で価値がある本だと思います。2018/10/23
michi
2
手塚治虫が医学博士で「火の鳥」を書いたことに通じるような、イメージ。元素を受け取って、死んでその元素を宇宙へ解き放つ。2011/06/09
moe
2
緩和ケアに携わる医師からの、死を目前に迎えた人々への提言。天国や地獄、神仏や生まれ変わりなど信じないといった理系(?)の人向けの本。宗教はなぜうまれたか、なぜ寿命があるのか、死後の予習など、なかなかユニークな話もあります。死んだ後のことは自分は終わりでも、周りの人は終わらない、だから自分を大切に思ってくれる人がいるのであれば、「お墓は不要」は少し身勝手に思えます―という文章には考えさせられました。健康で、死を身近に感じる前に冷静な気持ちで読んでおきたい本だと思います。2010/11/12