内容説明
ベートーヴェンが「不滅の恋人よ」と呼びかける三通の「ラヴレター」は、いまだに、誰に宛てて書かれたのか、決定的な証拠はない。この音楽史最大のミステリーに、新説が登場! 実はこの手紙は、一八一二年の夏、全ヨーロッパを巻き込んだ大事件の中で、楽聖が「政治的危機」を友人に伝える「暗号」だったというのだ。果たして真説か。三通の手紙から壮大なスケールに広がる歴史絵巻、ここに開幕!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
15
ベートーヴェンの「不滅の恋人への手紙」。存在すら知らなかったのですが、単純なラヴレターであるという従来の仮説に異議を唱えた本。当時の政治・経済状況を考えると、確かにある種の暗号文と考える考え方は、正しい気がする...今後この新しい仮説が世間でどう受け取られていくのか、あるいは拒否されるのか、興味あるところです。(この本の発行から4年弱が経っていますが、現在の状況はどうなのだろう...???)2014/03/24
sun
6
面白い。「不滅の恋人」の手紙の相手が誰か?がいまだに不明なのは知っていたが、この仮説はすごい。細かい政治情勢が書かれており、とても為になる。この仮説への批評を読みたい。2013/11/05
kco
4
2016-6。ベートーヴェンて孤独で偏屈なおじさん、的なイメージがあるけど、実はめちゃめちゃ自由と歓喜を愛するひとなんだなーと。そう思うと色んな曲の説明がつくな。偏屈なだけのおじさんに、あんなに歓喜に満ちた曲は作れないだろう。2016/01/22
Humbaba
4
誰に向かって書かれたのかがわからないラブレター.その相手の候補としては何人か挙げられているが,決定的な証拠はない.それに対する新説として,これが暗号であったという物語を紡いでいる.2010/10/13
Akiro OUED
1
ナポレオンのロシア遠征にベートーヴェンが絡んでくるのが舞台設定として面白い。第五「運命」の出だしの暗さから、自由思想を奉じたというくせ毛の楽聖をイメージするのは、やや戸惑う。だけど、第九の激しい歓喜のコーラスが、まさに失われた自由への渇望を体現するという解釈には、大いに納得。2019/12/16