内容説明
丹頂鶴の家族は生きることの意味と方法を教えてくれます。夫婦関係のこと、子育てのこと、そして死を前にした看取りのこと。人生を考えるノンフィクションの大作。丹頂鶴の保護に人生を捧げた夫婦の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めぐ
4
釧路の丹頂鶴自然公園の管理人さんが絶滅寸前のタンチョウを人工孵化、人工飼育で殖やしていく過程の試行錯誤を記録したノンフィクション。トラブルへの創意工夫と鶴との意志の疎通度合いが素晴らしい。子供の頃に同じ著者の『鶴になったおじさん』を読んで感動し、早速小学校のアヒル小屋からアヒルの卵を拾って来て成鳥まで育てたりした記憶が蘇った。鶴は北海道辺りにしか居ない鳥だと思っていたので自分の今住んでいる辺りでも江戸時代までは見られたという話には驚いた2022/04/01
fubuki
3
昔、ドキュメンタリーで見たときは、楽しそう、などと思ったのだが、こんなに大変だったんだと初めて知った。そりゃ、世界初の人工孵化、人工飼育なんだから、テキストもないんだし、好きだけではできない。生き物を知ることはまず「観察」なのだと知る。寝食を共にするどころか、食事も寝る間も惜しんで飼育に力を注いでこられた。時代を感じるのは「調教」という言葉が出てきたこと。自然に返す場合、餌付けや調教など、もってのほかと思うけど、そうやって自然に返されてきた、目から鱗の感じ。種は違っても愛情は伝わるということだろう。2017/07/23
katta
1
昭和33年8月27日、世界で唯一の丹頂鶴自然公園が釧路市にオープンした。著者はこの公園の最初からの管理人で飼育員でもある。ユニークな飼育方法はNHKのドキュメンタリにもなったほど。本当に鶴を我が子のように、胸に抱いて人工保育する。あまりに親身に世話をするので、交尾を迫られて困ったことも。鶴って鳥がいかに家族を大事にし、愛情深く優しい鳥なのか、言葉が朴訥なだけに余計心に沁みる。絶滅寸前だった丹頂鶴が1000羽にもなっているという。いやーよかったねえ。2010/05/24