内容説明
ある日、あなたのもとに届いた一通の呼出状。それは裁判員候補者として選ばれたという通知だった。裁判など、もちろん生まれて初めての体験。茫洋とした弁護士、森江春策と敏腕検事、菊園綾子が火花を散らす法廷で、あなたは無事評決を下すことができるのか。裁判員制度の詳細を正確に伝え、法廷での証拠開示ルールを守るという強力な縛りにもかかわらず、見事なリーガルサスペンスに仕上がった傑作。本邦初の“裁判員”ミステリー、ここに開廷。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coco夏ko10角
29
森江春策シリーズ。裁判員ミステリー、ということで今まで読んだ中で一番ちゃんと弁護士してる。もし自分が裁判員だったらこの登場人物たちのようにうまくやるのは難しいだろうなぁ。2017/02/06
りんご
9
裁判のプロではない「あなた」が主人公の2人称小説。調査の過程はないが、被告人や証人や物証からあり得るかもしれない可能性を推理する。のらりくらりとした曲者弁護士・森江春策が検察側が予想しないあっと驚く真相へのヒントをさりげなく撒いていく。探偵はとっくに推理を組み立てているが、それを正しいと判断するのはあくまであなた、という独特の雰囲気の小説だった。それにしても被害者が悪人ばかりで、前回同様被告人を責める検察が好きになれない。アイデアは面白いので、自分でもいろいろ考えながら読めた。2025/05/10
おおかみ
9
施行から早8年、すっかり社会に溶け込んだように思うが、当初はどうだったか。本書は制度開始を機に書かれた「裁判員制度を取り上げた、おそらく本邦初の小説集」である。/裁判員裁判には特有の面白さがある。本格ミステリとして書くにあたって相当苦労したことが窺えるが、侃侃諤諤の議論が交わされることによる興奮は、確かに伝わってくる。何より森江春策のキャラクターが見事ハマっている。2017/09/06
ろんぐ
7
裁判員裁判を題材にした3編からなる短編集。読者が裁判に参加する視点で描かれます。視点が固定されていることや法廷内での証言と証拠のみに基づいて事件が再現されることで比較的あっさり目の謎解きになっています。3つ目は少し手が込んでいますが成功しているかどうかは…微妙なところです。とは言えどれも水準以上のお話で楽しめましたし、自分が裁判員となったらどうするだろう、と考えさせられました。2017/03/19
ハッチ
7
★★★★★裁判員制度を取り上げた短編集だが、凄く面白かった。法廷物はもともと好きだし、自分が裁判員に選ばれたら?と考えると、なかなか考えさせられる。2014/07/30