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内容説明
「百人一首」に詠まれているのは、今に通じる人の思い。美しい桜に感動したり、出世できずに嘆いたり、浮気な恋人を恨んだり……。そこに詠み人の“思い”を感じれば、難しい勉強などしなくても、和歌に親しむことができるのだ。本書では、歌の成立背景から詠み人の人となりまで、「百人一首」を味わうためのポイントを紹介。楽しみながら、古典をぐっと身近に感じられる一冊。
目次
秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露に濡れつつ
春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山
あしびきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかもねむ
田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ
奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき
鵲の渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける
天の原振りさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも
わが庵は都のたつみしかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり
花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに
これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
86
学生時代に古文の授業で習った百人一首ですが、あらためて読むと、意外と面白い。先ず作者のバックボーンを理解しつつ、歌が、どのような状況において詠まれたのか、その歌に籠められた作者の想いが知ることのよって、さらに歌に愛着が湧く。また藤原定家によって選択された作者たちの顔ぶれが、いかにも意味深で、歌の順番にも趣向が凝らしてあるところが、さすがは定家といったところでしょうか。この表の百人一首の歌とは別に、裏に籠められた、もう一つの百人一首があるような気がして、和歌の世界にハマりそうな、今日この頃の自分であります。2015/12/06
匠
75
一首から百首まで順に並べられた上、恋、春夏秋冬などの季節、旅など、どういう系統の歌かわかりやすく分類されているので、入門者や復習したい人には手軽でちょうど良いと思う。解説は平易な言葉で理解しやすく、また詠み人についての説明もシンプルで、エピソードなども興味深かった。それにしても、大昔の人の想いに共感でき、こうして語り継がれていくことは、なんとも感慨深い。2013/02/28
七色一味
60
読破。中学時代の国語の授業で、「前25首、後ろ25首」という中途半端な覚えさせられ方した百人一首。なんとなく(ほぼ)31文字に揶揄やら比喩やらつめ込まれたなにやらこ難しい文学、と言うイメージだったけど。意味や背景、作者など、コンパクトに纏められていて読みやすかった^^ 第4首、私が記憶していたのは万葉集版だったのか…。2014/03/04
exsoy
47
詠人の紹介や歌を詠んだ背景も砕けた文章で書いてくれたのは良いが、挿絵こんなにいるか?と思った。PHP文庫だからなー…2016/11/09
やす
45
百人一首の解説本は何冊か読んだことがありますが、100人の人間関係や歌が読まれた背景などが詳しく書かれていて、タイトル通り面白かったです。今まで詠んだ歌の内容とは、ちがった解釈に触れたような気がしました。著者は京都にある百人一首関係の博物館である時雨殿の館長であるということなので、1度訪れてみたいとも思いました。2016/05/04