イメージとしての戦後

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イメージとしての戦後

  • 著者名:坪井秀人/藤木秀朗
  • 価格 ¥3,300(本体¥3,000)
  • 青弓社(2014/06発売)
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  • ISBN:9784787233127

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内容説明

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戦前・戦中とは切り離されて一新したかのように流通している「戦後」のイメージはどのように作り出され、人々に受け止められているのか。映画からマンガ・アニメ・文学までを取り上げて、アイコン化された「戦後」イメージに抗する思想的作法を照射する。

目次

はじめに 藤木秀朗

第1章 ワンダーランド・ヤスクニ――ポップ・ナショナリズムの現在 シュテフィ・リヒター[小林敏明訳]
 1 新しいナショナリズムの流れ
 2 ポップ・ナショナリズム
 3 つのだひろの場合
 4 新世代の登場
 5 新旧の役割配置
 6 フリーター・ナショナリズム

第2章 歴史の消費──高橋和巳『散華』『堕落』における戦中戦後の〈重ね書き〉 坪井秀人
 1 いま高橋和巳を評価すること
 2 『散華』『堕落』の時代
 3 〈重ね書き〉される戦中/戦後

第3章 “感触としての戦後――石川淳、金子光晴が描いた〈皮膚〉と〈孔〉 天野知幸
 1 〈触れる〉ことと〈陥没〉すること
 2 皮膚的想像力と戦後の物語化
 3 戦後を拒み、嘲る〈孔〉
 4 「闇」を隈なく照らし出す言葉と〈声〉
 5 「私」が「闇」となることの恐怖と魅惑

第4章 戦後のネオテニー――手塚治虫、そして戦前における多種の理想 トーマス・ラマール[大崎晴美訳]
 1 手塚と戦後
 2 多種の理想
 3 国家的な寓意の彼方へ
 4 ネオテニー

第5章 ロボットイメージと戦後 馬場伸彦
 1 戦後復興とロボット漫画
 2 ロボットイメージの実現化
 3 分身ロボット『鉄腕アトム』
 4 アトムと原子力の平和利用
 5 戦争の遺物『鉄人28号』
 6 機械の労働者『R・U・R』
 7 一九八〇年=ロボット元年
 8 産業用ロボット『わたしは真悟』
 9 アトムの末裔
 10 サイボーグ技術のゆくえ
 11 ユビキタス社会と『攻殻機動隊』
 12 ロボット戦争兵器

第6章 押井守原作『腹腹時計の少女』における「戦後」表象 水川敬章
 1 押井守の歴史表現と「ケルベロス・サーガ」
 2 『人狼』――暴力と少女の主体をめぐって
 3 『女立喰師列伝』――存在の不確かさをめぐって
 4 『腹腹時計の少女』――いまだ出来せざる「戦後」史のイメージへ

第7章 小津映画の戦後とモダニズム 洞ヶ瀬真人
 1 日本映画の戦後の「近代」と小津映画
 2 「モダニズム」と小津
 3 戦後の「近代」と『東京物語』

第8章 富士山とレーニン帽――映画『赤線基地』(一九五三年)と「反米」 中村秀之
 1 『赤線基地』を紹介する
 2 「反米映画」としての『赤線基地』――アメリカ人からの批判
 3 映画としての『赤線基地』――同一性をめぐるせめぎ合い

第9章 「戦後」の視覚的再配置――写真集の歴史表象 藤木秀朗
 1 目的論的歴史表象から破局的歴史表象へ
 2 記録からノスタルジーへ
 3 ナショナルな歴史とオルターナティヴ
 4 ナショナルな歴史を超えて

おわりに 坪井秀人

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

12
特に第5章の「ロボットイメージと戦後」を参考に。「(長すぎる)戦後」という言葉の自明性へ意識が向けられる(何を意味しているのか、意味していないのか)。アトムは、天馬博士が死んだ息子とそっくりの分身をつくるために生み出されたが、そのプロトタイプはヒューマノイド型の原子爆弾だった。鉄人28号は戦争中に兵器として開発されたものである。等身大であろうと巨大であろうと、日本の漫画やアニメにおけるロボットは、最初から戦争と切り離せない。2025/02/27

子音はC 母音はA

1
ポップカルチャー、高橋和巳、ロボットアニメ、小津映画、戦後を扱った写真集などの素材を使って現在に至るまでの戦後の表象を探る論考集。馬場伸彦「ロボットイメージと戦後」と藤木秀朗「【戦後】の視覚的再配置」が興味深い内容であった。2014/07/04

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