内容説明
ある文学者の遺品から見つかった奇妙な暗号文。明治期に隆盛した田鎖式速記で書かれた暗号を解読すると、そこに書かれていたのは江戸時代の噺家、名人・三遊亭円朝、幻の落語だった!? 安政の大地震以前、江戸城から盗まれた四千両、その金に絡む色と欲。円朝よりも円朝らしい噺には、もうひとつ大きな噺が隠されていた……。磨き上げられた文章で円朝の怪談噺を蘇らせた手練れの一作。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はらぺこ
58
三遊亭円朝の事は全く知らなかったし、『円朝伜 朝太郎小伝』に出てくる作家の作品は数作しか読んだ事がなかったからか解説を読んでも正直ピンと来ませんでした。それに1700年前の『ユダの福音書』を解読したらウンヌンカンヌンて話があったので期待し過ぎたかも。 各回の最後に訳者注が有るけど目次は各回のページが書かれてないので探すのが面倒やった。最後に一括してくれた方が良かったのになぁ。2013/08/25
アキ・ラメーテ
42
三遊亭円朝幻の落語『夫婦幽霊』の速記原稿を著者が手に入れ翻訳する現代パート。出来るだけ円朝の語りらしく翻訳された『夫婦幽霊』のパートの2部に分かれている。現代パートは『夫婦幽霊』を挟んでいるので、行ったり来たりして話がややこしくなる心配はなく、どちらのパートにも集中しておもしろく読める。後編の現代パートで行われる謎解きも、まるでミステリーを読んでいるかのような緊張感があった。2016/09/10
はちてん
33
田鎖式速記で著された記号文を解読すると、円朝、幻の落語、夫婦幽霊の口述筆記だった。虚構か実話かクラクラするような辻原の巧さ。細かく散りばめられた逸話に引っ張り込まれ飲み込まれ安政の大地震前後の江戸へ。色と欲との絡み合いとはよくいったもので、色悪の末期はあなうらめしぃ。軽快な展開ながら一文の重さが印象的。2015/06/17
まさむ♪ね
33
うまい。ほんとうにうまいと思った。思わず唸ってしまう仕掛け満載。「私」はある国文学者の遺品から謎の暗号文を発見する。調べてみると、江戸、明治に活躍した三遊亭円朝の落語を写しとった速記符号のようだ。さっそく「私」はその翻訳にとりかかる。そしていよいよ円朝芝居噺「夫婦幽霊」の幕が開く。さすが円朝(いや辻原登?)、浅田真央のスケーティングのように滑らかな語り口に酔う、しかもこれが抜群に面白い。合間に挟まれる"訳者注"も小粋。さらに大オチ「訳者後記」以下には誰もが知るあの超有名作家が絡んでくるんだからたまらない。2014/07/27
KAZOO
21
2007年出版された当時に読んで、かなり感銘したのですが、文庫本となってまた読み直してみました。そんなに長くはない掌編ですが辻原さんの小説家としてのエッセンスが凝縮されていると感じます。欧米や日本の小説などについての言及もあるし、落語についての薀蓄というか実際に話を聞いているかのような感触になります。辻原さんのベストの1冊ではないでしょうか?2014/08/13
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