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内容説明
香りを感じる脳のメカニズムが、ついに見えてきた!食欲をそそるいい匂い、果実の爽やかな香り。食べ物や飲み物の「おいしさ」は、味とともに香りや匂いに強く影響される。このことは、食べたり飲んだりしているときに、鼻をつまんでみるとよく実感できる。匂いが消えると、味まで変わった気がします。花の香りやお香の香りなど、いい香りは心地良さや精神の安定につながる。逆に、いやな匂いがすれば、その場から逃げ出したくなる。しかし、香りを感じる脳のメカニズムは、長らく分からなかった。なにしろ、数十万種類もの香り分子を脳はいったいどのようにして感じるというのか、大きな壁が科学者の前に立ちふさがっていた。1991年に匂いを受け取る、匂い分子受容体が発見されてから、事態は急激に変わった。それから10数年、「脳のなかの匂い地図」が形となって大きな成果を上げ始めた。本書は、驚きと新発見に満ちたドラマをやさしく再現する。
目次
第1章 日常生活での嗅覚の役割<br/>第2章 におい分子受容体の発見<br/>第3章 脳へのにおい情報の入口<br/>第4章 脳のなかのにおい地図<br/>第5章 においを伝える神経回路<br/>第6章 においを評価する<br/>第7章 においと意欲と情動<br/>第8章 嗅覚研究への期待
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハッシー
101
★★★☆☆ 世界の最先端を行く研究者が「脳が匂いや香りをどのように情報として受け止め、処理しているか」を分かりやすく解説する。人が数十万種類もの多種多様な「におい分子」をどう識別しているのかは大きな疑問だったが、イラストを使った分かりやすい説明で腹に落ちた。ただ、においを感知して、電気信号に変換し、脳に送るところまでは分かりやすかったが、脳に信号が入ったあたりからは専門的な用語が増えて、急に難しくなる。鼻をつまんで食べると味気がなくなったり、食後にケーキが食べれるのを仕組みから理解できたのは面白かった。2018/11/20
おおにし
23
人間の鼻には約400種類の匂いセンサーがあり、反応するセンサーの組み合わせを「匂い地図」上にパターン化して、数10万種類のにおいを識別している。匂いセンサーは特定の匂い分子群に反応するだけではなく、他のセンサーとも交流してセンサー感度を調整している。例えばステーキを食べる前はステーキの匂いで食欲が増進されるが、ステーキを満喫した後はステーキの匂いに対する反応が抑えられケーキやコーヒーのにおい感度が上昇する。”デザートは別腹”には嗅覚も関与していようだ。すごいなあ。2019/10/19
空崎紅茶美術館
11
嗅覚といった感覚系を学ぶには、解剖学や生理学など、あらゆる分野が関わっていて、一度やり始めると泥沼にはまってしまうという印象があったのですが、本書では「においを受容するメカニズムとルール」「脳におけるにおい地図」を中心にまとめられていて、説明が分かりやすい。まだまだ解明されていない分野でもあり、未知な分とても興味深い。専門用語もあるので、不明な部分は参考書で確認しながら読み進めました。2011/08/20
bb
6
勉強にはなったが、「基本的なメカニズムは他の部位と大きくは違わないということが確認された」という印象。こまめに図が多いのはよかった。あとでもう一度よく確認したい。レベルは落とさないというなら、専門用語の英単語と引用文献も欲しかった。ラットとヒトの共通性もいいけど、違いについても個人的には強調してほしいかな。2014/02/11
incognito
3
東大医学部教授の森先生による新書。研究のありようがわかる本だと感じた。嗅覚に関して今までの知見をまとめてあり、これから進むべき道を示している。おおまかには知っている内容ばかりだったが、細かいところは補えた。やはり嗅覚はアクセルやバックらが入ってきて以来一次ニューロン周辺の解析は急速に進み、今や二次ニューロン以降のマッピング、さらに感覚の統合と情動・記憶との関連のところに大きな謎があるんだなと感じた。2011/10/08
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