内容説明
上田秋成の『雨月物語』は、人の心の中の闇を、厳しく美しく描いた小説集である。怨霊と生者の対話を通して、人間の愛憎や執着、欲望や悔恨をあますところなく表現し、近世怪奇文学の最高峰といわれている。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
52
来月の坂出行きの際には白峯寺にも行っとこう。2014/01/31
kagetrasama-aoi(葵・橘)
50
「菊花の約」「浅茅が宿」「夢応の鯉魚」「吉備津の釜」「仏法僧」「蛇性の婬」「白峯」「青頭巾」「貧富論」の九話が収録されてます。どれも大人になるまでに読む本の中に当たり前の知識として語られるようなお話ばかり。日本人にとっての怪異が納得出来たり、歴史上の有名人がこんな風に語られることが不思議に思ったり…中学生の頃初めて「雨月物語」を読んだ時の気持ちを思い出しました。佐藤さとる氏の現代語訳の文章も流麗で素敵です。小学校高学年(中学生でもいいかな)になったら、孫に是非読んで欲しい一冊です。2022/09/28
みつ
34
溝口健二監督の1950年代のモノクロ映画で観て以来の本作。映画は集中の2作品を自由に翻案して脚本化されたもの。今回九作全てを知ることで映画に用いられた「浅茅が宿」と「蛇性の淫」がやはり傑作であると知る。このシリーズの『四谷怪談』に続いて読むと、怪奇ものというより不思議な話の印象が強い。端正な挿絵(蓬田やすひろ画。表紙イラストとは異なる。)もその感を強める。中国や日本の歴史にも取材し、孔孟の思想の違い(後者は革命を肯定)や崇徳院の呪いなど幅広い知識に関して短い註釈はありがたい。子供向けの本と侮ることなかれ。2024/08/27
純子
31
森絵都さんの『みかづき』を読んだとき、学び続ける大人っていいな、と思ったからかな。図書館で、この『少年少女古典文学館』が並んでいるところで立ち止まったのです。佐藤さとるさんの名前が懐かしく、コロボックルの作者が訳をされるのは意外なような納得のいくような。『雨月物語』はもっとおどろおどろしい物語かと思っていたけれど、ここにあげられているものはそうでもなかった。お金の精がお金についていろいろ語るところは、今のわたしたちが読んでもとても興味深いものだと思いました。2017/02/20
ヒラP@ehon.gohon
28
雨月物語は、古典の中でも、江戸時代の文学としては、多様化した文学作品の中で、怪奇文学としてそれまでの同様の文学に遅れて、あまり輝かない物語のように思えます。 多分私が古典文学に疎いせいでもあるのですが、今回「浅茅が宿」を読みたくて手にしたら、他の物語もさっと読めてしまいました。 物語の時代背景、地域色については、枠外で示されているのでイメージの手助けをしてくれました。2024/02/12