呪術意識と現代社会 東京都二十三区民調査の社会学的分析

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呪術意識と現代社会 東京都二十三区民調査の社会学的分析

  • 著者名:竹内郁郎/宇都宮京子
  • 価格 ¥8,800(本体¥8,000)
  • 青弓社(2014/07発売)
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  • ISBN:9784787233097

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内容説明

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合格や商売繁盛を祈願する、お守りを身につける、節分で豆を撒く、運勢を占う、北枕を避けるといった行為は、必要不可欠ではないにもかかわらず、私たちの日常生活に浸透している。必ずしも宗教には位置づけられないこれらの呪術的行為は、どのような人々によって、どのような意識に基づいておこなわれているのだろうか。東京都二十三区での調査をもとに、現代社会に息づく呪術意識を浮き彫りにする。

目次

まえがき 竹内郁郎

序 章 「呪術」へのまなざし 荒川敏彦
 1 隠された宗教性としての「呪術」
 2 不定形に広がる見えない「何か」
 3 「いかがわしさ」を越えて
 4 「呪術」概念形成のポリティクス
 5 〈可視化する装置〉として――「宗教」から「生活」へ
 6 世俗化論を再考するために――宗教意識調査による不可視化に抗して
 7 「脱呪術化」論を再考するために――呪術の合理性の不可視化に抗して
 8 「宗教」と「科学」の概念的布置を再考するために――学問の専門分化による不可視化に抗して
 9 発見的概念としての「呪術」――別様の世界を認識するために

第1章 調査の概要とデータの特性 北條英勝
 1 調査の概要
 2 調査票の設計
 3 調査対象集団と標本抽出の方法
 4 回収率とデータの基本特性

第2章 調査結果概要 新津尚子
 1 行事・慣行
 2 祈願
 3 易・占い
 4 禁忌
 5 超人知現象
 6 宗教的観念

第3章 東京都二十三区の呪術的傾向――全国調査結果との比較から 新津尚子
 1 比較から明らかになった東京都二十三区の特徴
 2 信仰の有無、神棚・仏壇の保有、初詣――東京都二十三区で数値が低いもの
 3 「厄年を気にする人」ほか――東京都二十三区で数値が高いもの
 4 東京都二十三区で多く見られる呪術と伝統

第4章 行事・慣行の現代的意味 北條英勝
 1 行事・慣行の担い手をめぐって
 2 初詣は「若者型パターン」か
 3 節分行事の意味
 4 仏壇と神棚へのお供え行為の差異
 5 寺社前での会釈・合掌
 6 行事・慣行の特徴

第5章 墓参りと現世利益――墓参行為の二重性 荒川敏彦
 1 墓参りでの「思い」
 2 墓参りの経験
 3 墓参りでの「お願い」
 4 現代社会の墓参りと「呪術」的側面

第6章 お守りを捨てられますか 横山寿世理
 1 お守りとは何か
 2 お守りは護符なのか
 3 お守りに親和的な人
 4 捨てようとするときに明らかになること
 5 もらったものは捨てられないのか

第7章 「占いブーム」の現在――その受け手は誰か 下村育世
 1 占いに関する計量調査の少なさ
 2 占いへの関わりの特徴
 3 現代の占いの特徴

第8章 若年層の「呪術」とその特徴――高齢層との比較のなかで 下村育世
 1 宗教をめぐる若者の動向
 2 年齢層別(若年層、高齢層)傾向
 3 「呪術グループ(高齢層)」の受容
 4 「呪術グループ(若年層)」の受容
 5 現代の若者の宗教性

第9章 神棚的秩序と仏壇的秩序 北條英勝
 1 本章の目的
 2 仏壇と神棚の保有状況とその特性
 3 仏壇・神棚の保有状況と呪術的諸傾向の差異
 4 仏壇と神棚の保有の個別的な効果
 5 仏壇的秩序と神棚的秩序

第10章 運命と呪術 宇都宮京子
 1 「運命決定性」と「努力次第」
 2 MGC・IIでの呪術的項目と運命決定性とのクロス集計
 3 世界観、人生観と運命決定性
 4 超人知的現象の存在可能性に関する項目と運命決定性
 5 「気になる」程度を問う項目と運命決定性
 6 「効果や影響力」への問いと運命決定性
 7 祈願意識と運命決定性
 8 忌み日についての意見・性別と運命決定性

第11章 祈願に対する効果意識――呪術効果と心理効果 荒川敏彦
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

15
呪術といってもそれほどおどろおどろしいものではなく、節分とか初詣、墓参りや占いといった日常で体験するようなものが扱われている。それぞれの項目について分析はされているものの、どちらかと言えばデーターベース的な役割の方が多いと思う、この本。老人と若者、男と女によって呪術の需要の仕方が違う点は興味深い。また仏壇のある家は呪術に対して否定的であるが、神棚のある家は肯定的といったような他ではなかなかわからないような分析も面白い。この研究、興味深い点が多いのでいろいろ拡げていってもらいたいものです。2012/06/06

akinbo511

9
呪術と言っても、初詣や豆まき、雑誌の占いまでを含む調査結果を考察したもの。20代30代男女の占いや姓名判断を信じる度合いが学歴で別の傾向を示しているのが不思議だった。 2014/02/17

佐倉

6
かなり専門的な学術調査の結果と分析のまとめで、そこから論考を展開していくという趣旨でも無いので読みやすくは無い。ただ呪術的なものへの人々の意識調査をこんなにも真面目に調査することは空前絶後なのではないか。日本は近代社会であるように見えて、実のところ生活に多くの呪いが溢れている…というのは多くの人が納得するだろう。その俗論の先に踏み込んだことに価値がある。仏壇、あるいは神棚のみを持つ人はそれぞれ呪いへの意識が違うとか、男性は占いを信じない人が多いのに高学歴になると急に信じる人が増えるとか面白い結果もあった。2022/07/19

mittsko

3
かなり前に読んだが感想を記録してなかった ⇒ 東洋大学社会学研究所による、現代日本における呪術の意義と行動に関する社会調査の成果。研究期間は十年余との由。東京二十三区の成人住民1200人を対象に(回収率60.3%)2006年1月、質問紙法によって調査、結果に統計分析をほどこす。この種の調査でこの規模のものは見たことがない。おかげで、大変有意義な結果がてんこ盛りに出てきているので(コメント欄参照)、関心をお持ちの方には、一読をつよくおすすめします…( ̄▽ ̄) ※ 本書独自の呪術概念も注目に値する2023/08/25

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