内容説明
王都レーギスの中心部からはずれた路地に、隠れるようにある防具屋[シャイニーテラス]。陽の光が差し込まない暗い店内に佇むのは、女主人ソラ。彼女の店には、訪れる客と必ずある約束をかわすルールがある。それは、生きて帰り、旅の出来事を彼女に語るというもの。店から出ることのできないソラは、旅人の帰りを待つことで彼らと共に世界を旅し、戻らぬ幼なじみを捜していた。 ある日、自由を求め貴族の身分を捨てた青年アルが店を訪れる。彼との出会いが、止まっていたソラの時間を動かすことになり――。これは、不思議な防具屋を舞台にした心洗われるファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たるき( ´ ▽ ` )ノ
69
私の好きな雰囲気だった。ちょっと切ないけど、とても優しくてあたたかい内容。続きはどんな風に進んでいくのか、とても気になる!こんな防具屋があったら、冒険者たちは癒されるだろうなぁ。2016/01/31
ひめありす@灯れ松明の火
64
籠の中の鳥は待っている。この翼を託せる相手が訪れる事を。空気を裂いて、風と共に踊り、空を翔ける。彼女の翼を。届かない空の、夢を見ながら。錠の落ちた世界には、何時も一筋の影。何も隔てる物のない空なんて、そこにはなくて。だからこそ時折届く外の世界の物語。完璧に自由な空の記憶を彼女は待っている。空色のカップに口付けて、翼は彼女の許へと還ってくる。怜悧な女騎士、中途半端な素材屋、そして二人の青年騎士。「いってらっしゃい」「ただいま」と。そう何度でも繰り返す相手を、今日も待つ。そこにいつか、空の彼方が訪れると信じて2013/12/18
さばかん
60
なんて温かくて優しい話なのだろう。帰る場所があるということは本当に幸せなことで、待つことしかできないのはとてもつらいことで、でも「おかえりなさい」を言えることはとても幸せで……。 店主の娘の変化もこの作品の楽しみの一つですかね。2012/09/05
りょうこ
55
こおゆうのを透明感がある!って表現するのでしょうか!?読んでいてスーってするような…感じ(^-^)/読後がとても気持ちが良い!!好きです!!この本!2011/10/17
チョコ★@1年ぶりです
50
最初は、防具屋「シャイニーテラス」に色んなお客様が来て、旅の話をするだけかと思っていましたが、話が進むにつれてお客様たちが絡んでいって、とても良かったです。アルと関わることによって、主人公のソラの表情や言葉がだんだん柔らかくなっていくのも微笑ましかった。独特な世界観がとても気に入りました!!2話も絶対読もうと思います。2010/10/06