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内容説明
人格の成長を第一と考える理想主義を提唱し、昭和期の学生必読書『学生に与う』を著した思想家・河合栄治郎。彼の生涯は闘いの連続であった。中学校でのいじめにはじまり、保身に走る官僚、派閥抗争に明け暮れる大学教授、そしてファシズムに傾斜していく軍部に対し、彼は「戦闘的自由主義者」として、自らの信念を貫き通した。新発見の史料によって生涯・思想・後世への影響を詳説。いま明かされる真実の河合栄治郎とは。
目次
序章 いま、なぜ河合栄治郎か?
第1章 理想主義者の誕生
第2章 「大正デモクラシー」とともに
第3章 左右勢力の狭間で
第4章 戦時体制下の闘争
終章 没後の河合栄治郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
21
河合栄次郎の生涯とその業績を年代順に追った評伝。著者は河合の高潔な人格やその理想主義に熱い共感を寄せていると感じるが、それはそれとして、巻末に掲載されている大量の文献を読み込み、冷静に思想家としての河合の限界や現実の問題に対して理念的になりすぎるという欠点をも指摘しており、公平な視点で書かれていて好感が持てる。心に残ったのは河合・木村健康の師弟の絆の深さと、師弟の道を踏み外した大河内一男の世間的栄達である。真の師弟が世間的にも勝者とならなければ師の正義が宣揚されないし悲哀が残る。師弟の道の峻厳を思った。2020/03/08
BLACK無糖好き
6
戦前からファシズム勢力に対して正面から批判を展開した「戦闘的自由主義者」元帝大経済学部教授 河合栄治郎の、人物と思想の実像に迫る。「各個人は各個人の為に存するものであって夫れ自身貴重なる目的を有するものである、断じて他の手段方便として使用せらるべきものではない。吾等の生命は神より与えられたる神聖にして貴重なるものであって、無意義なる専制と不要なる圧政に甘んずべきものではない」(p130) 理想主義思想体系の構築に向けた凄まじいまでの読書と思索の過労により志半ばで倒れる様は圧巻。2015/08/03
ぽん教授(非実在系)
2
著者は勿論河合を支持する立場で本書を執筆している。そのため、河合の熱い理想主義と教育的姿勢に対して肯定的に描いているが、それは反面暑苦しさと独善性という形で批判的に描くことも可能である。 自分としては人物像としての英雄ぶりよりも現代における河合の思想的立ち位置の斬新さと限界についてもっと焦点を当ててもらいたかったと思う。2015/09/09
数学の問題集
1
著者である松井慎一郎氏が私が通う大学の講義で河合栄治郎について取り上げたことがきっかけで興味を持ち本書を手に取るに至った。河合栄治郎の出生からその生い立ち、環境、思想形成に携わる豊富なエピソード、思想、そしてなによりも河合栄治郎に対する著者の熱い思いが読者である私にも十分に伝わってきた。すべてを受け入れることはできないけれども、「人格の成長」という河合栄治郎の根幹にある人生における目的は私にとって大きな影響を与えた。大学生として『学生に与う』をぜひとも読んでみようと思った。2015/02/01
数学の問題集
0
再読。2017/02/07