内容説明
明るい画面のすぐ裏で、スタッフは余ったロケ弁当で空腹をしのぎ、人気出演者は降板宣告に怯え、経営陣はタメ息をつく。広告費の激減、視聴率の恒常的低下……テレビという巨大産業が、もがき苦しんでいる。なぜ新聞を読み上げるだけの「情報番組」が横行するのか? なぜあの看板キャスターが交代したのか? スポンサーの地雷はどこにあるのか? ベテランディレクターが非難覚悟で業界の問題点と未来を実況中継。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かっぱ
35
【図書館】歌野晶午の小説「ディレクターズカット」の参考図書に挙げられていたので読了。発行年が古いので現状とは違うかも知れませんが、テレビがなぜ観られなくなってきたかが分かる内容でした。ネットの登場とバブル崩壊後からの広告費の減少で製作費が激減、その中で現場のテレビマンが視聴率を稼ぐために、「やらせ」やルール違反を繰り返す実状がある。元々が編集作業を伴うものなので、時系列を変えるなどの「見せ方」の変更は常に行われていて、VTRを「演出」することに抵抗感がないことが始まり。民放テレビ局は生き残れるのだろうか。2018/03/31
501
16
テレビ局のセンセーショナルな裏側を暴露する本ではなく、テレビ業界の健全な発達を願うために、番組作成の裏舞台を負の面をさらけ出しつつ紹介している。とはいえ建設的な論考はほとんどなく、テレビ業界の現状に筆者自身も困り果てているのではという感がある。書かれている内容も、やっぱりそうなんだ、と何となく視聴者側も察している内容が多いかな。2015/05/07
まめタンク
13
裏側というよりテレビ業界で古くから言われている悪手慣習のまとめ本といった所か。下請けが孫受けに安価で番組制作を依頼するこの構造は建設業界と変わらない。民法キー局社員の年収はのきなみ1000万円越え、孫受け社員は300万円の年収で生活しているという。あるある大辞典の捏造問題は記憶に新しい。新たなあるある大辞典が起こる可能性は十分にある。夢があるのは表だけ、裏は厳しいものだと痛感させられます。2011/06/02
shigoro
6
裏側というよりネットなんかで言われている裏付けみたいな本であり、なんとなく分かっている部分が多かったかな。広告収入が減って経費削減はしているが、電波を数局で寡占状態にして新規を受けつけない業界ゆえ、倒産ってコトはほぼ無さそうだけどね。その点ではまだまだおいしい業界だと思う。2011/05/06
KJ
4
時代の変化は特権に守られていた組織に否応なく変化を要求する。テレビを取り巻く環境も大きく変化している。制作費の削減。コンプライアンスの順守。スポンサーへの配慮。番組制作者に対する制約は強化される一方で視聴者は変わらず面白さを欲する。相反するものを同時に要求される現場の苦悩が伺える。様々な競合するメディアが登場する中で最早テレビが強者である時代は終わりを迎える。古いやり方や価値観が見直され破壊される時代だからこそ新しいものを創る余地が生まれる。厳しい環境でもテレビの持つ力を信じて奮闘する人々の心意気が良い。2021/06/29