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内容説明
キリスト教を棄てることは、武士を棄てることだった。桃山~江戸時代、4千人以上もの、世界に類を見ない大量の「殉教」から見えてくる、日本人の気質と死生観とは?
目次
第1章 遠藤周作『沈黙』に見る殉教
第2章 秀吉はなぜバテレンを追放したのか
第3章 武士のメンタリティと、聖遺物信仰
第4章 弾圧に歓喜するキリシタンたち
第5章 大殉教の時代
第6章 それでも日本を目指す宣教師
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タミイ
6
映画「沈黙」を観る前に、大昔に読んだ「沈黙」の復習と史実を勉強しておこうと思っていたらまさにドンピシャの本が!秀吉〜家光時代のキリシタン弾圧について「沈黙」を引用しつつ史実との違いを解説していてとても面白かった。「沈黙」で読者の胸に響く宣教師ロドリゴの苦悩は実は現代的感覚で、当時の来日宣教師には信者の殉教を悲しむ感覚はなかったという!役人が処分に難儀するほど次々と自ら名乗り出る信者たち、日本人ならではの意志の強さやキリシタン大名の武士的エトス、来日宣教師の高潔さと信仰の強さにも恐れ入った。信仰って凄い。2017/02/17
Sumiyuki
4
『沈黙』のロドリゴが民を守るために棄教する精神は現代的だと批判。そのあたりの根拠を滔々と説明してほしかったが、あまりなく。棄教した者たちの理由をまとめてほしかった。豊臣時代の弾圧は、武士階級や宣教者等の指導者集団に対してだった。彼らは誇りもあり、望んで殉教した。切支丹を探索する役人に対し、自ら名乗る人もいるほど、切支丹であることを隠さなかった。時代は下り、指導者階級が淘汰される江戸初期に入ると、民衆には殉教する誇りはなく、隠れた。処刑場には、罵声を浴びせる民衆がいた。日本人だなぁ。聖遺物。2022/02/13
onepei
4
島原・天草一揆は殉教にあたらない、の指摘をはじめ、いろいろ興味深い内容。2020/05/10
okkb combine
4
遠藤周作の殉教を理解したいが為に購入した一冊です。読んでみてキリスト教に信仰し始めたのかがよくわかりました。
lily
4
遠藤周作の名著『沈黙』では宣教師や信仰者の神への葛藤が語られているが、史実を紐解くと彼らが喜びの中で命を捧げていった様子がありありと分かる。布教当時の日本は呪術的な治療が少なからず行われており、ここにイエスの名のもとにバテレンの献身的な介護が人々に浸透していった。ハンセン病や呪われた人々に手を差し伸べたイエスの思いが、キリシタン増加につながったことは間違いない。最後の場で取り乱さず落ち着いて死を迎えるという武士道精神と殉教の親和性があるというのも腑に落ちた。2017/07/23