内容説明
誰もが認める美貌の持ち主、桂木涼子。名門進学高校に通い、一流大学医学部合格の太鼓判を押されていた。そんな彼女がある日、“悪魔の実験”を始める。それは母・祥子に気づかれぬよう、劇薬タリウムを飲ませることだった。盛られるタリウムは刻々と致死量に近づき、祥子の体は激烈に蝕まれていく……。涼子の狂気は、なぜ最愛の母親に向かわねばならなかったのか? 文壇の鬼才が現代人の心の闇を描ききったミステリーの新機軸!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
H!deking
71
実際にあった事件をモチーフにした作品みたいですね。どう解釈するか人それぞれだろうけど、個人的には面白かったです!好み分かれるだろうな、こういう話は。42冊目2018/04/17
ちょこまーぶる
52
読みながら恐怖心が徐々に大きくなっていくのが体感できる一冊でした。しかも、あとがきで実話を基に書かれたものだと知って、余計に恐怖心を煽られました。そして、人間は度重なる辛い体験や経験によって、どんどん心の闇深くに落ちて行って、自分の存在価値を見出すためには心の闇以上の行為をすることでしか闇に自分勝手な光は充てられないものなんだということを実感できる内容でした。ただ、彼女の闇の世界の生物たちとの会話は、カタカナで書かれていることもあり、私には読みずらい文章だったように思えました。2015/01/03
ごみごみ
40
進学校に通い成績は上位で容姿端麗。そんな少女が母親に毒物を投与し続ける「悪魔の実験」を試みる・・実話モチーフだというから恐ろしい。動物や昆虫が好きな少女がなぜ?歪んだ思考と妄想が少女を暴走させる。ところどころにグロい描写もあり気分を害しながらも、少女の「実験」が成功するのか気になって一気に読んだ。少女の心理はとても理解できるものではないが「あらゆる動物の中でヒトが一番残酷で、罪深い生き物」には妙に納得させられた。それにしても母親ってここまで娘の狂気に気づかないものなのか?自分も大丈夫か心配になってきた!2019/08/25
chiru
24
タリウム事件を下敷きにしたストーリー。実話ベースのフィクション。作者の想像で補完してる部分もあるだろうけど、めちゃくちゃにかけ離れてるとも思えない。いつもそうだけど、ノンフィクションは冷静に読めて、実話フィクションは、読後感が悪くなってしまう。やっぱり無理でも答えめいたものが欲しい。本当の心の中は、少女にしか分からないものだとは思うけど。★32017/10/19
Taisuke
19
2005年に実際にあった母親毒殺未遂事件をもとに書かれた本。少女がタリウムを手に入れ、聖なる実験と称してジワジワと母親を死に追いやる過程が、なんともタイトルの通り温度を感じない。少女が壊れたのは幼い頃飼い犬のリトルを安楽死させられたのがきっかけだった。昔、この事件を注目していたのでよく覚えているがそのまんまの内容にまるで事件の記録を読んでいるようだった。少女の今はいったい……2015/06/22
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