内容説明
映画「彼女が水着にきがえたら」「病院へ行こう」などのヒット作で、若くして売れっ子脚本家になった著者。時代はバブル真っ盛り。ハイ状態で仕事をこなす日々。しかしその一方で、漠然とした不安や締切のプレッシャーから精神的に追いつめられ、市販薬の過剰摂取で気分を紛らわす方法を思いつく。薬物依存は次第にエスカレート。生活が荒み、奇行が目立ちはじめ…医者が下した診断は<うつ病>。発症から克服までをユーモラスに描く、笑いと涙のうつ病生還エッセイ!
目次
プロローグ ドラゴンレディ―潜降
第1章 ハイ!
第2章 安曇祐子という女
第3章 悪いジャンキー
第4章 良いジャンキー
第5章 石井ゆかりという女
エピローグ ドラゴンレディ―浮上
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マサキ@灯れ松明の火
13
「うつから帰って参りました」…一色先生…「うつは心のがん」という言葉には共感出来ますが…先生…「うつ」以前に「完璧な薬物中毒患者」ではありませんか!?「薬物中毒」が酷くなった結果の「うつ」なのでは……「うつ」=「薬物中毒」ではないのですが……2013/10/19
はやしやもり
2
水道橋博士が動画でおすすめしていたのでなんの気無しに読んでみたけど、とても面白かった。バブルの少し前から第一線で脚本家としての仕事をしてきた人の半生の話。著者さんの名前は意識しなくても、「僕らはみんな生きている」や、「七人のオタク」など、ずっとその創作物を通って育ってきた。映画版はもちろんのこと、「僕らは」に関しては山本直樹さんの漫画もすごく好きだったので、一色さんが原作と知って驚いた。読んでよかった。2023/07/28
うたまる
2
タイトルは「うつ」だが、中身はそれよりも「薬物中毒」と「脚本家としての業績」が中心。文中、自身の作品からの引用が多いが、私は有名どころを含め一つも観ていない。それは著者の一連の作品がみな薄っぺらく安っぽいから。行ったことのある海外の地名を無駄に数え上げ、パリの良さを通ぶって語るところなんかは、まさにバブル親父。そういう感性が嫌いなので避けてきたのだ。うつとスキルスを経て死に向き合ってからは、少し深みのある話になってくる。それまでは軽いトークと笑えないジョークに我慢我慢。2013/04/07
yori
2
★★★★☆ 人気脚本家なだけあって、繊細な感覚と表現に引き込まれました。映画やドラマのセリフの中に著者の思いが込められているのを知りました。確かに改めて読むと何か心に残る感じがあります。ひどい薬物(合法)中毒状態だった期間が長く、読んでるこちらも本当に回復するのだろうか、、、と思ったけど、うつは治る、んですね。2011/10/07
鈴木誠二
1
ずっと読むかどうか迷っていた作品。「うつ」状態の描写や心理的葛藤などは、脚本作品が大好きだったこちらの心に刺さってきますね。語り口がとても上手いだけに「うつで苦しんでいる君たちも頑張れよ」とも読めてしまうところが、20年近くうつと付き合い続けている自分には、ちょっと辛くて苦いが良本であったことは確か。2019/12/14