内容説明
力はなくとも権力に近づけるのが連歌師だ。父の敵・戦国の世への復讐のため、野村紹巴は連歌の道を突き進み、秀吉はじめ名だたる権力者とつながりを持って、天下一の連歌師へと駆け上ったのだが・・・。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とら
10
連歌師という職業で以て戦国時代を生き抜いた紹巴。その生涯を面白く読み終えた。連歌で一座を組むのが仕事とはさぞかし才能がいる事と思う。2020/03/23
あかんべ
6
光秀を裏でそそのかした、なんて話もあったが、ここではひたすら連歌の道を歌骨が無いなんて言われながらもがんばる姿が、いじらしい。けれど晩年怒りっぽく扱いにくい老人になったのはいただけない。2014/02/12
こまったまこ
6
戦国時代の連歌師里村紹巴の波乱万丈な物語です。紹巴というと明智光秀が本能寺直前に愛宕山で連歌会を催した時の人物で有名です。光秀の謀反を紹巴は気付かなかったと言っています。「ときは今」を土岐氏にかけているのはでっちあげだと言っているのが興味深いです。連歌師の立場から見た戦国時代というのも視点が変わっていて面白いです。戦があると「武士は大変だ。連歌師でよかった」などと戦国武将の間を渡り歩いているくせに他人事のように言うのか面白いです。この作者様らしくユーモアたっぷりの場面もあり、とても楽しく興味深く読めました2010/05/15
藤枝梅安
6
岩井さんは「戦国連歌師」や「踊る陰陽師」で連歌にかかわる人々を描いたが、この小説では里村紹巴を取り上げている。 奈良の貧しい家に生まれた紹巴は、戦国の世を生き延びるために連歌を選び、歴史に名を残したが、必ずしも良い評価ばかりではない。辞世の句を残さなかった紹巴の人生をこの作家は客観的に観ている。紹巴にとって連歌は芸術ではなく世を渡る術だったという作者の考えをわかりやすい物語にしている。2010/02/10
まさ影
4
『戦国連歌師』の友軌がチョイ役で出てくるのがご愛敬。2014/01/31