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内容説明
進化の研究を科学にし、進化が起こるメカニズムとして自然淘汰説を提唱――『種の起源』の登場は、史上最大のパラダイム・シフトだった! 本書は専門家向けの学術書ではなく、一般読者向けに発表された本である。名のみ知られるばかりで、その内容については多くを語られることのなかったこの歴史的な書を、画期的に分かりやすい新訳で贈る。これを読まずして生命は語れない。
目次
第1章 飼育栽培下における変異
第2章 自然条件下での変異
第3章 生存闘争
第4章 自然淘汰
第5章 変異の法則
第6章 学説の難題
第7章 本能
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
140
非専門家にも読解できるよう平易な表現で執筆された著者の進化論。多くの観察例や実験による傍証などを他の学者たちの言論等と照らし合わせながら実証主義を貫く彼は、言葉選びも考察もとにかく慎重で謙虚。勿論時代背景はあるだろうが、欠点や不明点を自ら晒したり反証を求めたりと理論家気質も大いに寄与していそうだ。アリの奴隷狩りやハチの巣の実験はかなり楽しんでいそう、発見と絶えない疑問出現に意気軒昂とする学者としての素顔だ。浮き上がる激しく厳しい生存闘争は、非情な歴史を築く人類もまた「自然」の一部であることを示唆している。2022/03/11
ガクガク
73
「進化学はすべての生物学の根幹」であり、「『種の起源』を読まずして生命を語ることはできない」。訳者の渡辺政隆氏が、あとがき「本書を読むために」で記すように、生物学を学ぶ者にとってはまさに必読の書。とは言え、具体的な例を挙げられると、予備知識もなく実例の映像が浮かばないとつらい。エッセンスだけを読み取る読書を心がけなければならないが、もし、本書に出てくる具体例を写真や図解等で補強した解説付き本が存在するなら、もっと興味深く理解も深まるはず。ダーウィンの周到かつ慎重な筆運びが科学者としての偉大さを感じさせる。2014/07/29
こなな
59
専門家のための学術的なものでなく一般向けであるとのことである。以前から読みたかったのだが、それを知って読むことにした。丁寧で細かく分かりやすい。文章の後に気がついたことがあったら、注意書き、説明も怠らない。現代では知られていることのまとめ書きになるわけである。適応しつつ対処していくことにつきるということだろうと思うのである。読み終わった後も確認したくなったときのために手元に置いておこうと思う。終わりの“本書を読むために”もとても興味深いことが記してある。2022/01/22
ころこ
43
「進化論」という言葉を何気なく使っていて、「進化論」という言葉の使用がその見方を強化しているという気がします。本書で言われているのは、個体変異に応じて生存繁殖率に差が出るように、有利な変異を持つ個体ほど生き残る確率が高くなる。それが多く起こると、原種から変種が分かれて新たな種となるということです。宗教的なイデオロギーに対して、観察による推論を提起した、「進化論」というよりは、「変化論」といった方が相応しいです。しかし、人間を中心にして、ものの優劣を解明しようとする別のイデオロギーに接近するようにみえます。2019/07/26
ひろき@巨人の肩
40
「自然淘汰説」。一般常識として習った理論。本書を通して「自然淘汰説」に如何に到達したかというダーウィンの思考に触れることで、本説を自然界のダイナミクスとして捉えることができた。またダーウィンの卓越した帰納的論理力に驚愕する。池上さんお薦めの世界の名著10冊だと納得。本書の多くの観察から、悠久の世代交代と自然淘汰された膨大な種を考えることで、進化は未だ現在進行形の普遍的なものだと実感する。それにしても家畜の品種改良から自然界に起こる変異の蓄積、器官変異から本能の変異を推察できるダーウィンは凄いの一言。2016/08/15