内容説明
村上春樹の主要作品のなかから『ノルウェイの森』と『ねじまき鳥クロニクル』を取り上げ、二つの物語の内に私たちが生きている現実世界の痕跡を読み取っていく。「記憶」「他者」「身体」という共通の主題がそれぞれの物語をいかに起動・展開させているのかをたどりながら、恐怖に満ちたこの世界を生き延びるためのスタイルを模索する。
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目次
物語をめぐる物語、としての小説
第1部 記憶・他者・身体――『ノルウェイの森』と自己物語の困難
序 章 自己物語の氾濫/困難
第1章 想起(の物語)の失敗
1 記憶のための物語/証言のための物語
2 共有された死者の記憶
3 物語の座礁と語りの再編成
4 第一の企図の放棄
5 物語の破綻と残された問い
第2章 身体/他者――自己物語とそのさまざまな困難
1 自己物語の困難
2 他者とともにあることの困難――「永沢」と「ハツミ」
3 身体を生きることの困難――「レイコ」
4 重要な共演者の死
第3章 「直子」――沈黙する身体
1 病いの語り
2 行き違う物語
3 「再入場への恐れ」と「待望者」の誤謬
4 神話化する身体/夢想化する記憶
5 証言の失敗
第4章 「緑」――語り続ける身体
1 語り手としての「緑」
2 物語を受け取ることの困難
3 作り話、あるいは嘘つきの戦略
4 境界画定のゲーム
5 コンティンジェント・セルフ
終 章 忘却の忘却としての物語
1 生存の論理/死者の物語
2 忘却としての語り直し
3 ループする語り
4 浮上し続けるものとの闘い
第2部 災厄の痕跡――日常性をめぐる問いとしての『ねじまき鳥クロニクル』
序 章 日常性への問い
第1章 他者の同一性=正体をめぐる物語
1 他者の徴候――「泥棒かささぎ編」
2 横滑りする問い――「予言する鳥編」
3 他者に物語(名)を与える物語――「鳥刺し男編」
4 他者性の寓意としての「電話の女」
5 他者の行方
第2章 偶発的身体
1 身体が呼び起こす物語
2 身体とその二つの状態
3 身体をめぐる権力とその二つの顔
4 変身
5 闘争の二つの文法
6 身体・権力・日常性
第3章 飽和する記憶
1 戦後の物語/戦時の記憶
2 挿入される戦場の記憶
3 戦時の記憶とその両義性
4 無の贈与/記憶の贈与
5 開かれた物語/飽和する記憶
6 時を損なう者/時を繕う者
7 可能なる起源
8 〈起源〉への降下
9 記憶/時間/生命
10 災厄の記憶と再生への賭け
終 章 恐怖の持続
そして、物語は続く
あとがき
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