内容説明
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。
筆まめで面倒見が良く、ユーモラスでときに辛辣。気難しい文豪のイメージとは一味違う人間・夏目漱石の素顔が、遺された多くの書簡から甦る。友人への励まし、門下生のための職の斡旋、読者からの便りへの返信、行政に対する抗議文、さらには猫の死亡通知まで。無類の手紙好きだった漱石は、折に触れてユーモアと真情にあふれる思いを書き送った。誰かが困っている時、悩んでいる時、喜んでいる時などにも、的確な言葉を相手の胸に投げかけている。時を経ても古びることのないその言葉は、漱石から届く現代へのメッセージでもある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
75
友人や目下の者には優しく世話好きで、権威に対しては江戸っ子気質を持って切って捨てる気風の良さがわかる。そして鴎外との、互いに意識した、しかし近くはない、それでも相手に対する敬意を持った関係がそこかしこで見て取れる。親友子規への手紙は、真面目で思いやりに満ちていて、恋人とのやり取りのようだ。娘への愛情こもった文章。そして、吾輩は猫であるのモデルになった、名前のなかった猫とのやりとり。今、漱石の墓にはお清はいないがその猫はともにいる。だが、私は何と言っても芥川にあてた手紙が好き。その手紙が彼を世にだしたのだ。2015/02/07
Willie the Wildcat
56
多種多様な2500通。氏の人物像が如実に浮かぶ。主軸は子規と鏡子の両氏。生死観も通した唯一無二の存在。互いに曝け出し、互いを尊重。一方、師弟関係にも温かみ。木曜会の初期の頃、翌日の講義をサボってのおでん屋で二次会・・・、羨ましいなぁ。叱咤激励、私のような人間ですら手紙書いたら、必ず氏は返信してくれたような気がする。印象的なのが、”猫”絡みの虚子と三重吉のエピソード。”猫伝”か・・・、う~ん流石に今更しっくりはこないけど、それもアリかな。(笑)2017/07/13
yumiko
21
以前読んだ漱石の手紙がとても心に残り、もっと読みたいと思っていた時に見かけた一冊。相手の気持ちや状況を慮り、時に厳しく時に優しく、慈愛に満ちた言葉で導かんとする門下生たちへの手紙は、私の中の神経質な胃病持ちの文豪というイメージをガラリと変えるもの。後世に残る多くの作品を書きながら、こんなにも彼らのために心を砕き、仕事の斡旋や作品執筆のために尽力していたとは…多くの門下生に慕われていたのが頷ける。また、不治の病を患った親友子規との書簡は涙なくしては読めなかった。腹心の友とは、このような間柄を言うのだろう。2014/12/30
勝浩1958
4
やはり夏目漱石は素晴らしい。小説だけでなく、家族や門下生や読者の人々に綴った数多くの手紙のいたるところに漱石の心の温かさが感じられ、そして人間としてスケールの大きさが見てとれた。2009/08/21
プヨ
3
正岡子規との思いやりに満ちた手紙。妻や娘との照れ隠しをしながらも愛情あふれる手紙。どの手紙からも、漱石の生真面目さ、ユーモア、愛情が滲み出ている。漱石の苦悩や姿勢も見えて面白い。2006/08/15
-
- 電子書籍
- シャンパーニュ・ガイド 本場を味わい尽…




