内容説明
一九四五年(昭和二十)八月十三日。ソ連軍の満州侵攻が激しさを増すなか、少年軍属として飛行場設営に従事していた十七歳の畑半二にも、臨時招集令が下った。厳しい規律の軍隊社会のなかで、右も左もわからないまま三日で終戦。そのままシベリア行きの貨車に載せられ、終わりの見えない抑留の日々を送ることになる。極寒の地で少年を待ち受けていたものは、飢え、精神の崩壊、日本人同士の醜い争い。極限状態におかれた人間の本質を通して、少年は次第に戦争とはなにか、人間とはなにかを考えるようになる。シベリア抑留の壮絶な実態と少年の成長を描くノンフィクション。
目次
西へ向かって走る貨車
貨車輸送始末記
抑留生活の始まり―一九四五年十月~四六年五月
ソフガワニー―一九四六年五月~七月
ハバロフスク―一九四六年七月~十月
ペトルーシ―一九四六年十月~十二月
キルガ収容所―一九四六年十二月~四七年五月
クイブシ―一九四七年五月~六月
ネルチンスク―一九四七年七月~九月
チタ―一九四七年九月~十一月〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ted
4
'09年7月刊。'45年年8月13日に入隊した18歳の少年兵・畑半二は、僅か2日後に敗戦を迎え、3年余のシベリア抑留生活を送る破目に陥る。まるでわざわざソ連の捕虜になりに行ったに等しい皮肉な運命をいかに生きたか。聞き書きを纏めた本なので読みやすい。抑留中に接したロシア人は概して無教養だがお人好しで純朴、意外にも親日的だったという。そんな彼らとのささやかな交流が印象に残る。「ロシア人は個人として付き合うといい奴が多いが、国家としてはロクでもないことばかりする」と佐藤 優がどこかで書いていたのを思い出した。2012/03/29
wei xian tiang
3
敗戦時十七歳というシベリア抑留でもおそらく最年少の被害者の実話から。抑留日本人の同胞相食む「民主化」運動の情景は目を背けたくなる。無聊凌ぎに次々に標的を見つけては言いがかりを付け、保守だ反動だと吊るし上げ、死に至らしめるアクチーブ(民主化運動幹部)の悪辣さ。暁に祈る事件は帰国後アクチーブが裁判にまでかけられたので有名だが、他にも無数の犠牲者がいる。敵でも厳寒でもなく、同じ日本人のニワカ共産主義者の毒牙によって落命した人々の無念を思う。2015/12/19
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