文春文庫<br> ドラママチ

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文春文庫
ドラママチ

  • 著者名:角田光代
  • 価格 ¥590(本体¥537)
  • 文藝春秋(2012/05発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167672065
  • NDC分類:913.6

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内容説明

私が欲しいものは、子ども、周りからの称賛、愛する男、自分にふさわしい華やかな仕事、やる気、人生を変えるドラマチックな何か。でも現実に私の目の前にあるのは、単調な生活に、どうしようもない男、中途半端な仕事、むずかしい性格の義母……。高円寺、荻窪、吉祥寺と、東京・中央線沿線の生活感あふれる「街」を舞台に、毎日ほんの少しの変化を「待ち」のぞむ女たちは、あなたにも、きっとどこか似ている。ほのかに射す明るさが心揺さぶる、8つの短篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

464
表題作を含めて8つの「〇〇〇マチ」の物語を収録。ここでのマチは「街」と「待ち」の掛言葉であろう。中央線沿線の街のどこかで、何かを待ち続ける女性たちが主人公である。ほんとうのところは、彼女たち自身も何を待っているのかよくわからない。かといって、それはシュールな物語などではなくて、いたって哀切でリアルな物語なのである。思えば「待つ女」の系譜は日本文学の古典的伝統である。謡曲「砧」をはじめ、それを踏まえて書かれた『雨月物語』中の「浅茅が宿」など枚挙に暇がない。8篇はいずれも「あはれ」の横溢する物語であった。2019/01/17

ミカママ

113
ずっとこのタイトルは「ドラマ街」なんだと思ってました。「ドラマ待ち」だったのね。どこにでもいそうな主人公たちのどこにでもありそうな日常、でも実は心の中がぐちゃんぐちゃんで、というような角田さんらしい内容。おまけにおいしそうなお料理やお酒ががここかしこに登場して。「わかるよ!わかる!!」と思わず主人公に感情移入してしまうような、そんな小説でした。2013/11/18

あも

103
吉祥寺、荻窪、武蔵、三鷹…耳馴染みのある中央線沿線の『マチ』を舞台に、子供、本当の私、プロポーズ…色んなものを『待つ』30代の女性達を描いた短編集。どの女性も閉塞感や倦怠感に包まれた薄曇りの中にいる。未来に輝かしい物だけが待っていた10代、20代を経て、待っている物が素晴らしいとばかりは言えなくなる世代。どこにでも行けた筈がいつしかどこにも行けなくなっている。それでも人生はまだまだ続く。100%の喜びとは限らなくても喫茶店の年季の入ったソファに座り、待ってみよう。何かが変わるきっかけはきっとそこかしこに。2019/08/27

ひろちゃん

102
短編集。角田さんの小説読んでると恋愛の難しさを改めて感じるわ。たいていの女の子は個々の男の子がしてほしいこととか、して欲しくないこととか熟知してるんだろうか?2015/12/26

おくちゃん🌸柳緑花紅

85
高円寺、荻窪、吉祥寺、東京中央線沿線の【町】を舞台に【マチ】待つ女性を描く短編集。表題作のドラママチ、相手に会うことを待ち焦がれるような時間も、眠るのが惜しくて相手を見つめる夜も、突然の贈り物に胸を踊らせる瞬間ももう二度とこない。という文章がこんなに年齢を重ねた私にも響いた。自動改札で立ち止まった彼からの一言。待っていたドラマのようなシチュエーション。桃色の電車が5月の陽射しに背を光らせてホームに滑り込む。目に見えるようだ。ワカレマチ、ショウカマチ、ほろ苦くビターな角田光代さんを堪能。私は今ナニマチに?2022/11/24

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