内容説明
この国が激動の世を迎えていた古墳時代末期―――。豪族・蘇我馬子の護衛頭である東漢駒は、主君の命に服従して生きる運命に翻弄されていた。天皇家も巻き込む権力争いの渦中、天皇の妻・河上が冷遇を受けていることに懊悩する駒への命は「天皇の暗殺」だった。
感想・レビュー
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むつぞー
2
物語の視点は暗殺実行の東漢です。武官として蘇我に仕えることに翻弄されつつも、そう生きるしかない姿と河上娘への想いがなんとも印象的です。派手に描がかれた物語ではないけれど個人的にはすごい好みでした。そして使われた言葉がとてもキレイだと思いますね。 今後の作品に期待してます!2009/07/03
トモコ
0
こういうの、好きなのです…!この時代をテーマにもっともっと書いてほしい!!2012/05/27
ハルト
0
東漢駒という名の通り、政の駒として大王を謀殺し、その生を終えた彼の一生は、はたして幸せなものだったのだろうか。同じように政治の駒として、誰からも顧みられることのなかった河上娘。時代という大きなうねりの中で、ただ翻弄され続けたふたりが、玉のきらめきのように、一瞬、人としての意味と幸福を味わい、散る。歴史のささやかなひとコマとしても、動乱の中、どこまでも透徹な恋の物語としても読めると思う。2009/08/23