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内容説明
ノルマンディの地方領主にすぎなかったオートヴィル家の一族。彼らはその根拠地を遠く南イタリアの地に移し、下克上さながらに近隣諸侯の領地を切り取り、やがてはシチリア王国を建国するにいたる。南イタリアのノルマン騎士の活躍を描く一大叙事詩。
目次
プロローグ ノルマンディ
第1章 ノルマン人、南イタリアへ
第2章 ロベール・ギスカール登場
第3章 ノルマン人、シチリアへ
第4章 古い支配の終焉
第5章 世界の恐怖―ロベール・ギスカール
第6章 シチリア王国の成立
第7章 ノルマン朝シチリア王国の変遷
エピローグ 十字軍のノルマン人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kuroma831
23
書泉グランデによる限定復刊企画で再版。11世紀から12世紀の南イタリアを舞台として、傭兵としてやってきたノルマン騎士の一族オートヴィル家がシチリア王国を建国するに至る歴史を描く。講談社メチエの『地中海の十字路 シチリアの歴史』では初代シチリア伯のロジェールとその息子で初代シチリア国王ルッジェーロ2世がメインだったが、前史としてのヴァイキングによるノルマンディー支配から始まり、ロベール・ギスカールによる南イタリア征服、後史としてのシチリア王国の滅亡や十字軍での活躍までを描く。2025/11/18
翠埜もぐら
19
弱小ノルマン騎士の兄弟が、同じくノルマン騎士のウィリアム征服王がイングランドを目指したのと逆に、南イタリアで「王」にまで現実に「成り上がる」お話。なろう小説ではなく歴史書です。しかし成り上がる初手が山賊まがいって、10世紀から11世紀って「強いものが一番偉い」武力行使に建前がいらない時代なのですね。末っ子ロジェールが統治したシチリアがほぼ統一した後、イスラム教徒を含めた「融和政策」寄りだったため比較的安定して豊かだったと言うのが印象的でした。ボエモンドの十字軍参戦も十字軍の実態が垣間見えて面白かったです。2025/11/29
さすらいの雑魚
17
これは中世のジョースター家(ジョジョ♪)だとボクが理解したオートヴィル家のチートな年代記。俺つえぇ小説ならリアリズム的に問題な無敵ぶりで、戦えば勝ち侵さば奪う無双ぶり。ビザンツ帝国は滅びかけ、教皇は媚び、神聖ローマ皇帝は裸足で逃走。聖地に旗を立て、アンティキオアを奪取。ついでに美貌の皇女の心まで奪うルパンも真っ青な不逞の輩だ。世界の恐怖と謳われた首領ロベール・ギスカールを筆頭にボエモンドやタンクレディ達が織りなすヒロイックファンタジーも色褪せるロマンティックな冒険譚が詰まった中世欧州のマジな歴史書♪
ジュン
10
ヴィンランド・サガがアニメ化されたと聞き再読。陸にあがったノルマンニたちの国取り物語。スカンジナビアからシチリアやビザンチンに移住するというスケールがいい。「どうもノルマン人というと、バイキングのイメージが強くて、誰でも竜頭船をあやつっていたかのように思いがちだが、そうではない。南イタリアにやってきたノルマン人は馬に乗った戦士、騎士である。彼らはむしろ海を苦手としていたのである」。シャチはナイトになったのだ。2019/07/13
じょあん
6
ノルマン人の歴史を扱った一冊。物語的に話が進むので、読んでいて面白く、頭にも入りやすい。なんといってもロベール・ギスカールがカッコいい。もちろん彼だけではなく、彼以前、そして、彼以後、シチリア王国がノルマン人の手から失われるところまでを扱っている。ヴァイキングと一緒くたにされがちなノルマン人だが、その誤解も解いてくれている。ノルマン人の歴史の最良の入門書。 2023/10/26




