内容説明
東京は下町、向島の料亭に生まれた川田周一。十四歳。母はすでになく、父も別居していた。義兄が家を出て、二人の異母姉と周一だけになった。刑事や物騒な連中が来るようになり、店を嵐の気配が包む。そんな中、周一は煙草や酒を覚え、喧嘩を女を知っていく。しっかり眼を開けていろ、との板前・久我の言葉を胸に、男という向こう岸へ、泳ぎ渡りはじめた少年の成長を描いたハードボイルド青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
56
14歳で酒に煙草に女!。まだこの時代は携帯もスマホも無い。どちらかというと私達の時代に属する。自分の体で痛みを覚え、大人の女に慰めを貰う。この14才の子が北方氏のハードボイルドの若かりし姿か。文明開化から進化も進化、パソコンからロボットが人の代わりまでする時代になった今、子供達は幸せなのだろうか。周りの人を見ずして、手の中の機会を指で操り、褒められるだけで叱られる事も無い。大人になって初めて「他人」に叱られ世間から逃避してしまう。殴られた痛みも知らず躾と称して虐待する若き親。ああ時代に取り残された者の愚痴2016/04/27
GAKU
40
向島の料亭の息子周一十四歳。母はすでになく、父は別居。料亭は一緒に暮らす異父姉が女将として切り盛り。父からの紹介で久我という板前が料亭に。同時期に料亭には、刑事や怪しい連中がやって来るようになる。料亭周辺には不穏な空気が。少年周一が久我、姉、友人、仲居を通して男になってゆく、北方作品には珍しい青春版ハードボイルド?最後は東映任侠映画を髣髴とさせるクライマックスへ。面白かったけれど、こんな十四歳、実際にはいないだろう!?と一人ノリツッコミ。2016/04/24
tai65
1
星4つ 2011/04/15
ふっちゃん、男性60歳代(乱読書歴50年)→70歳になった。
0
北方謙三さんの、珍しい青春物と言える作品。 14才の川田周一は、向島の料亭の子ども。母は無く、父は年若い女性と別宅で生きている。 料亭は姉二人が、女将として続けている。この周一が、色んな出来事に巻き込まれながら、男として立ち向かって行く。【4.7】2021/07/02