内容説明
時の流れや社会規範によって姿を変える「ことば」。地球上にある何千種類もの言語、変化を続けるとらえどころのない対象の本質に、言語学はどこまで迫れたのか。ソシュールをはじめとした近現代の言語学の成果を検証、理論では説明しきれない言語の特別な性質をさらけ出し、グローバリゼーションの中で現代世界が直面する言語問題にも鋭く切り込む。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
30
言語に関心を抱く人たちの中には、今日の言語学は、その流派を問わず、言語の不変性には注目するが、変ること(可変性)には全く無関心である。そうなっているのは、自らを構造主義の牢獄の中に閉じこめているからである。言語学の歴史からすると、人々はむしろ言語が変るという事実のうちにこそ、すなわち歴史の中にこそ言語の本質を見出そうとしてきた。そして言語が変るということ、「変えようとしないでも変る」(柳田國男)という面に関心を抱く人は、いやでも「歴史」というものと出会わざるを得ない/かなり要再読状態。2019/04/06
はづきち
11
電子書籍。言語は神から与えられたものなのか、人間が生み出したものなのか。言語は自然科学の対象になり得るのか。言語は今の形が完璧だから変化してはいけないのか。言語がどのように生き残ってきたかなど。言語学がことばという現象をどのような方法でとらえようとしたか、つまり言語学史についての本です。難しい話も出てきますが、かなり読みやすいです。言語について考えるには、やはり歴史を無視するわけにはいかなそうです。著者はモンゴルの研究者でもあるので、最後にモンゴルの分断についても書かれています。2021/09/03
susu
3
言語と人間は切り離せないということはわかっていても、個人的にはその形や構造を分析に魅力を感じます。言語と政治の関係も、無論考えねばならない問題ですが、そういったいざこざには積極的に向き合い性分ではないのかなあと思いました(社会言語学も面白いとは思いますが)。人間が創ったはずのことばに、人間が支配される−このパラドックスは、言語学が魅力的な理由の一つだと思います。2013/12/01
宙庭隼人
2
「言語学史から何を学ぶか」「言語変化の問題」「当面する言語問題」の三本だて。田中先生のご専門がロシア語のためか、ソビエト言語学にも触れられていて面白い。生成文法が、言語の歴史性を排除している、というのは、学びはじめて日の浅い私にも感じられる。ソシュールやチョムスキーといったビッグネームから、あまり聞いたことのない人までと話題は豊富。2016/02/02
susu
2
比較言語学について一通り目を通したことがあるせいか、第1章の言語学史はかなりわかりやすかったです。ソシュールが通時態と共時態を区別したことにより、体系を認めることができるようになったということがよくわかりました(今まではこの区別がそんなに賞賛されるべきものだとは、正直思っていませんでした)。ガーベレンツの「蝶がどのように飛ぶかを知るには、イモムシやサナギを見ても仕方ない」ということばが、まさに言い得て妙であると思いました。2013/10/31
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