内容説明
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戦前に強制・教育された皇国史観と、同時代に世界を席巻したダーウィン進化論とは、どのような関係性を築いたのか。思想警察や学校教育、生物学研究者としての昭和天皇表象を手がかりに、皇国史観と自然科学の対立を軸にして戦中期の政治体制の矛盾を照らす。
目次
序章 進化論と皇国史観
第1章 思想警察・検察と進化論
1 明治後半期の「生物」進化論の流行
2 丘浅次郎の進化論
3 神道家・国学者の反応
4 進化論者の応対
5 ダーウィン進化論の知的価値の所在
6 明治の左翼運動家・思想警察の反応
7 一九二〇―三〇年代の左翼運動と進化論
8 思想警察・検察による括弧入れ
第2章 学校教育と進化論
1 一九一〇年代以前
2 第一次世界大戦と進化論教育
3 国民精神文化研究所による進化論批判
4 優生思想の席巻と進化論
第3章 昭和天皇と進化論
1 「生物学者としての天皇」という矛盾
2 「生物学者としての昭和天皇」登場の前史
3 戦前期マスメディアのなかの「生物学者・天皇」
4 天皇の生物採集・研究のメディア・イベント化
5 陸軍とマスメディアの動向
6 背景
7 日中戦争以後の状況
終章 昭和天皇のダーウィン像
あとがき
索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
_pikopon
2
たぶんかなりレア本。日本における進化論の受容と市民、体制の反応について。中身は至ってまじめ。著者も人文系にありがちなダーウィニズムの誤解とかしてない。2009/05/20
つみれ
1
『ダーウィンの呪い』を最近読んだので、てっきり優生思想の話かと思ったら違った。優生論で天皇は凄いと言ったこともあったみたいだけど大勢ではない。進化論受け入れたら天皇も人になるやんけだったけど、近代化と戦争による科学推しのが優勢になり、はっきり書かれてないけど多分流石にもう進化論は嘘で押し通せやんやろの流れのまま、最終的にはやっぱり優生保護法に繋がっていく。じゃあ結局現人神ってみんなどう思ってたのよってところは別の本を読んだ方が良いんだろうな。天皇自身も進化論者。歴史の研究するより穏当やというのがウケる。2025/01/27
りぃ
1
天皇制=万世一系と進化論は、相反するようでともに顕教であった。でも、「陛下(昭和天皇)が生物学なんかに打ち込んでるから国策がおろそかになる→研究所放火しちまえ」ってすさまじい理論があったものだ。2009/12/14