内容説明
[新装版]『二十歳の原点』三部作の第一弾となる本書は、二十歳と六か月で、その生涯を自ら閉じた著者が、十四歳から十七歳までの青春時代を綴った日記です。自分自身、両親、姉弟、クラスメイト、部活動の仲間…について語られていく少女の際立った感受性豊かな、心の断片を繋いだ記録です。本来他人に読まれる機会のない日記という形態だからこそ、自己の深い内面が何のてらいもなく披露された、この稀有な青春の手記にぜひ触れてみてください。痛々しいまでの純粋さとは、普遍性を持った文学的なテーマであることを思い出させてくれるはずです。新装版は、当時の時代背景を知らない世代にも読みやすいように一部脚注を付しています。また、著者が実際に日記を綴っていた大学ノートが横書きであったことを考え、より“個人の日記”という雰囲気を感じていただくために横書きの文字組デザインに変更しています。帯の推薦文は「この本はわたしの『青春のバイブル』の一冊でした。――桜庭一樹」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
名前ちゃん
6
弱いけど強い あれこれ悩んで前進できない状態の自分をきちんと見つめていて誠実だと思った2017/01/09
taiju
3
「二十歳の原点」の初読から10年ほど経って、初めてその序章にあたる部分を読んだ。中学時代から始まる日記には当然幼さもみられるが、しっかり自分と向き合う様子が端々に読み取れた。学校のこと、家庭のこと、進路のこと、病気のこと。誰でも考えることだが、これだけ自分との対話の過程を書き留めるのは、非常にエネルギーがいることだと思う。所々に悦子の詩があるが、これは読んでいて少し辛くなる。感情的にかなり早熟だったのは確かだろうが、恐らくこの年代の大多数がこうした暗い感情から目を背ける中で、悦子はそれと向かい合っている。2025/11/20
をかだ
3
友達とは、勉学とは。あらゆることで悩む時期の、しかも悩みやすいタイプの人が書いた日記。「ねぇ何とか言ってよジュディー、この方が落ち着きそうなの」とかロマンチックだなぁ。少女小説っぽいんだけど、実際ひとりの本当の悲しみ喜びがあったんだよね、「役ニ立チマセン」「ワタシ ハ ミジメ」とか。そんなことないって、と思いつつ私の日記も大差なかったりする。2013/05/29
根岸
3
彼女の葛藤は相当なものだったのだと思う。やろうと思っても続かない意志の弱さは、大多数の人間にとって克服するのは難しい。でも、大多数の人間は妥協したりあきらめたりを簡単にできる。彼女は不器用で思慮が深すぎる。理想の自分との折り合いをつけることができない。不器用だから、できない自分を許すことができない。思慮深いから将来に不安を持ち、そして理想を高く掲げる。落ち込んでは後悔し反省して立ち上がる。浮き彫りになっていく、できない自分。 彼女が抱えていたものは一生、理解できないのかもしれない。想像するだけで恐ろしい。2012/10/21
conegi
2
なんのきっかけか忘れたが、二十歳の原点に興味をもったので、前段として読んだ。二十歳で自死を選んだ著者の14歳から17歳までの日記。流石に前半は内容も言葉も幼さを感じるが、多感な世代の言葉は瑞々しさを感じる。悩み、コンプレックス、憧れ。同じ年代の頃、自分は何を考えていたんだっけな。次は序章を読む。2021/07/30




