朝日選書
戒厳―その歴史とシステム

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 236p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022599643
  • NDC分類 210.6
  • Cコード C0321

内容説明

文学作品や映画のテーマにもしばしば使われ、紛争諸国ではいまなお身近な「戒厳」。近隣諸国では、台湾が38年間戒厳下にあったし、韓国では光州事件時、中国では天安門事件時に実施されている。また、2003‐04年インドネシアのアチェ州、2009年フィリピンのマギンダナオ州での戒厳は記憶に新しい。明治憲法下の日本でも、日清日露戦争、二・二六事件…非常事態に布かれた。歴史の出来事のように見えるが、有事法制と自衛隊のある現代日本も、じつはミサイル迎撃や大震災の際などは無関係ではない。本書では、軍法務の第一人者がその本質を、法令と近代以降の実施例から徹底検証し、法令上の「戒厳」と現実の「戒厳」の乖離を明らかにしていく。

目次

第1部 戒厳令成立の道程(市民の安寧を護るために;軍備拡充の申し子;登場した戒厳令;明治憲法下に入った戒厳令)
第2部 戒厳の実際(真正戒厳は明治期だけ;明治・大正期の行政戒厳;昭和期も行政戒厳)
第3部 戒厳の影(太平洋戦争時における未発の戒厳;自衛隊と戒厳)

著者等紹介

北博昭[キタヒロアキ]
1942年鳥取県生まれ。71年東京都立大学大学院修士課程修了。大阪経済法科大学客員教授。日本近代史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Toska

13
分かっているようで分かりにくい「戒厳」の実態について、大日本帝国におけるその運用が詳述される。戒厳発動のルールすなわち戒厳令が定められたのは1882年で、実は明治憲法より早い。実際に戒厳が宣告された事例は意外に少なく、その度に法的な裏付けも取られていた。戒厳をテコに軍が権力を独占したというイメージは、少なくとも日本には当てはまらない。逆にそれをやろうとした2・26事件が戒厳で鎮圧される一幕も。2024/04/20

nagoyan

2
優。戦前日本における「戒厳」の制度と実態がよくわかる。旧憲法上の戒厳は戒厳令による合囲地戒厳と臨戦地境戒厳の二種類があるが前者はついに宣告されることがなかった。戦時もしくは事変に際して軍事上の必要から戒厳宣告は天皇大権による。他方、日比谷事件、関東大震災や二二六事件に際して行われた「戒厳」は緊急勅令により戒厳令の一部規定を適用したものであり行政戒厳という。目的は当然軍事ではなく治安維持である。行政戒厳が本来の戒厳令よりも制度上は広範に権利制限をもたらしかねなかった。ところで、著者は大江と異なり、戒厳の効用2010/04/14

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/421519
  • ご注意事項

最近チェックした商品